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2003/5/1インタビューVol.022 [議会議員] 横田 えつこ 岡山県議会議員 「子どもたちに絵本の読み聞かせをすることが、私の原点なんです」

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岡山県議会議員

岡山県議会 横田 えつこ
政党 無所属
選挙区 岡山県
初当選年 1995年
当選回数 4回(県議選1回、市議選3回)
公式サイト

 

本日はよろしくお願いします。


お願いします。実は今朝、親子クラブに行ってね、大変だったんです。



親子クラブ?一体、何をしに行かれたんですか?


私は15年来、子どもたちに絵本の読み聞かせをする「プーさん文庫」というボランティアをしているんです。
それで、幼稚園や小学校からお声がかかるんですけど親子クラブもその1つ。0歳から3歳くらいまでの子どもと親たちの子育てサークルですね。
みなさんは子どもの頃絵本を読んでもらった経験はある?
日本の絵本は、色彩面とか言葉の美しさとか、音楽性、それから装丁の素晴らしさ、出版の多さでは、世界でピカ一だと思うんですよ。
日本の子どもたちがその絵本を知らずに過ごすのはあまりにもったいない。
今、「子どもをどう扱えばいいのか分からない」って子育てに悩んでいる若い親が多いでしょう?
私は自分自身の子育てに、絵本があることでとても助けられました。絵本を仲立ちにして、子どもと一緒に楽しむ時間、時には親の思いを絵本に託して伝えたりね。
日々の躾もストレートに「こうしなさい!」って言うより、子どもの気持ちに沿いやすい気がします。
だから「親子の間に絵本を置いたらどう?」、「子育てに絵本は役立つよ」ってずっと言ってきているのです。



そういった読み聞かせは、岡山では盛んなのですか?


以前は、家庭の一部屋を開放して個人がする家庭文庫が多かったのですが、今は公民館などを拠点にグループで活動する地域文庫の方が多くなってる。
これは日本でなかなか図書館作りが進まないので、致し方なく始まった「世界的に非常に特異に発達した日本の文化」ですよ。
私たち自身も家庭文庫から地域文庫にシフトした1つですが、公民館活動の活発化とも重なって、岡山市内の公民館31館のうち20数館で、定例的に読み聞かせをするグループができています。
ある意味、意図的に作っていったんですよ、公民館職員のみなさんとボランティア市民とでね。
市内各地に図書館が出来ればベストなんですが、また私はそのために議員になったともいえますが、しかし一気にそれが成就するわけでもありません。
そうなると学区単位に整備されている公民館は、図書館ネットワークの最末端、最前線としても使えるわけです。
公民館に置ける本の量としては5000冊であまり多くはないですけれど、それでもそこで貸し出しができて、市民にとっては一番身近な本を借りられる場所という位置付けになって、公民館に図書コーナーがキチンと確保されています。
図書館の移動バスも定期的に来て、本の入れ替えもしています。是非一度行ってみてね。
議員になってすぐに岡山市の図書館整備計画作りに取り組みました。
1997年に計画を立て、次に実施計画まで作ったのだけれど、その後の経済失速で建物はなかなか建たないのよね。
図書館は単なる箱物行政ではなく、これからの時代の焦点である「市民力」をつける拠点だと、私は考えているのだけれど・・・先に進まない。
次善の策として、公民館の図書コーナーを充実させたり、学校・園の図書館を充実させることに力を注いでいるのです。
市民にとって、借りたい本がいつでも手近な所にあるという状態にすることね。



一昨年の11月に、子ども読書推進法というのができたそうですね。それはどういった法律なのですか?


学級崩壊や犯罪の原因を子どもの読書離れにもってきて、子どもには良い本を読ませにゃいけんっていう。どう思う?課題図書のように、誰かが選定した「良い本」を、この本を読みなさいって子どもの鼻先へ持っていくんじゃなくて、これだけたくさんの本がある中で、それぞれの興味と関心で自由な選択を保障することが肝心でしょ。
私は子どもの読書離れの解決法も、身近なところに図書館を作ることだと思いますよ。
子どもと読書という点では、岡山市は10年くらい前から学校図書館全部に専門の学校司書が配置されているのですが、これは全国に誇れるすごい政策です。
こういった既にある優れたもの(資源)をもっと磨きをかけて、上手に使うことを考えたらよいと思うのよね。
頼んだわけでもないのに、いきなりこんな法律できちゃって。しかも頼んでもないのに、この法律に基づいた、第1回の文部科学大臣賞、私たちの「プーさん文庫」が表彰されちゃったのよ。(笑)



ボランティアでしてきたことと、議員活動がどうつながりますか?


それが今、全国的に非常にクローズアップされている「ブックスタート」“赤ちゃんの時から絵本を”という事業に繋がっているんです。
国は2000年に日本で初めて国立の「子ども図書館」がオープンしたのを記念して、この年を「子ども読書年」としましたが、それをきっかけに国や県が各自治体にブックスタートをやりましょうって、旗振りをしています。
事業の内容は、生まれた赤ちゃんに2冊程度の絵本をあげて、絵本と子ども(親も)を近づけるきっかけにするというもので、日本の図書館行政の貧弱さをおぎない、子育て支援という側面があります。 でも私たちのように文庫をやっている者は、そんなことは以前から地道にやっとるわって感じなの。(笑) だけど残念ながらこれにはお金がついてこない。
国や県は旗を振っても、財源が伴わなくて気持ちだけ。ブックスタートをやりましょうと言うからにはお金を出しなさいと私は言うのだけど・・・ない袖は振れない、推奨するだけなんですっていうからね。あぁ失礼だなぁ。
田舎の方の小さな自治体では子どもの数が少ないから、事業を手がけるのが早いんです。
だって年間50人ほどの出産ならば経費は10万円でOKですもの。
それに比べて、岡山市では年間7000人の赤ちゃん誕生。ざっと1000万円はかかるのね。財政難で新規事業は全くといっていいほど手がつけられない状態ですよ。
とはいえ少子高齢化で子育てがこれほどクローズアップされている現在、国は子どもにもっとお金をかけてもいいと私は思いますけれど。
肝心なことをやらないで気持ちだけ押し付けて、出来るわけないじゃないのって思うわけ。
もっとも岡山市は、赤ちゃんに絵本をあげるのではなくて赤ちゃん絵本の紹介(簡単なブックリスト作成)を乳児検診や子育て相談の時に実際の絵本を見せながらひとり一人の親や赤ちゃんにしていくという方法をとって今年事業をスタートします。
そのきっかけ作りのために私たちの市民グループは2年前に『あかちゃんの絵本箱』これ手のひらサイズのブックリストで100冊の絵本をカラーで紹介し、子育て経験と絡ませて1冊ずつの紹介文や子育てのお悩みQ&Aが書いてあるのだけど、本を作って全国の本屋さんでも売るし、岡山市にも寄付したのよ。
乳児検診会場にボランティアで絵本の紹介に行ったりもしたわ。



横田議員は、その文庫活動の仲間で『友達選挙』をされたと伺ったのですが、『友達選挙』とは何ですか?


「私が議員になりたいから応援してね」っていうわけではなくて、みんなで選挙をやろうっていう動きが盛り上がった1994年の夏、私はサポーターのつもりだったんだけど、候補者やるわって人がいなかったの。だから私としては、みんなでやる選挙の候補者という役割を引き受けたって思ってる。
私たちの強みは、地盤もカバン(=お金)も看板も何もない集団だったこと。
それでも既成の政党に政治をお任せでなく、文句ばかり言ってないで自分達でやろうって一念発起したわけですよ。すごいでしょ。
私たちはよくあるピラミッド型の組織とはちょっと違う。タンバリンみたいだってよく言うんです。
1つひとつの鐘が横ヨコにつながってね。上下の縦関係ではなく横のつながりを強めたのです。これが「友だちの輪」。そしてこの友だちの輪がどこまで繋がれるかで選挙をしているのよ。 友だちの条件は「利害ではなく信頼」であること。これが大事。



横田議員が議員という仕事をされていることに関して、家族の方は何ておっしゃっていますか?


夫と4人の子どもがいるんだけど、夫は「あんたと一緒でなかなか面白い人生を歩ませてもらってる。」と感謝してくれてますよ。(笑)
もちろん、感謝はお互い様。私の仕事は夫の協力があるからこそです。夫婦はいずれにしても人生の協働事業体だから。
息子(次男・大学4年生)はね、この春の統一地方選で静岡の私の友人の県議会議員選挙を選対の一員としてやったんです。責任が重かったけれど300票差で最後に滑り込んだのね。「母さん、当選だ!」とどんなに嬉しそうに報告してくれたことか。
彼も「面白い経験をした」だけでなく、他人の釜の飯っていうか、他人の所でやってみて初めて、母さんがどんなことしてるか分かったって。
だから彼は今、私にとって非常に良き理解者になったといえますね。



よかったですね!私は、将来やりたいことが見つからなくて不安です。横田議員の息子さんのように、色々な経験をして、面白いと思えるものを見つけたいです。


入り口はなんでもいいのよ。
待ってるだけじゃなくていろんなことをやってみること。どんどん攻勢をかけていったら面白い物がきっと見つかるんじゃないかな。こういったドットジェイピーの活動もそうだろうし。
次男はマスコミ関係志望だけれど、やりたいことがそうはっきり決まっているというわけではない。
長男(専門学校生)は今自分の夢に向かって猛勉強中。仕上がるまで30歳くらいまで待ってくれる?って言うから、うん、いいよって言ってるんですけどね。
何かに挑戦するって若い人の特権じゃないですか。たとえ失敗しても、またやり直しが効くし、頑張る体力と気力さえあれば、大丈夫よ。
私はそんなにたくさんの広い経験はないけど、自分がたまたま女性であって、「女とはこういうもの」そういった社会的概念・枠組みが今より強くある中で生きてきたんですね。これをジェンダーといいうんですが。
だから当たり前に結婚して、当たり前に子ども産み育てて来た。
でもその中で、いやーこれはどーなんかな、何か変、とか色々壁に当たり悩みました。
家事育児の専業主婦っていうのは、そのまんま角を立てないでいくと、経済的に夫にぶらさがってる状態になるわけ。
そうすると一家の主に従属する関係ができあがってしまうのよね。息苦しかったわ。
人は誰かに従属するのではなくて、誰でも自立して、自分らしく生きたいと思うでしょう?
でも、そのように生きるためには、目に見えるもの見えないもの、社会のなかには様々なバリアーがあるの。そしてそのバリアー、一人の生き難さが私の個人的なものではなくて、みんなにとってバリアーであれば、そのバリアーは除くべきだと思うでしょう。
それを除いておくと、今度私の娘や息子たち、次に続く若い人たちがもっと楽に生きられるかなと思うわけです。
だから是非、若い人たちとも共有して、こうした社会問題の解決に当たっていきたいと切望しています。
私は世代間断絶を強めるような「今の若い者は」っていう言い方はしたくない。
私たちが若い時にも言われたし、そんな話は2000年の昔からくり返し言われていることですもの。
今時の若い者はという人たちにいつも反論していたのは「私たちを育てたのはあなたたちでしょう。私たちはあなたたちに育てられたようにしか子どもを育てられない」って。
大人たちが訳も分からず「今頃の若えもんは」って、年代で一くくりにするとうちの子どもはいつも嫌がる。「母さんだって、女はって括られたら嫌だっていつも言うじゃないか」ってね。
そう「女は」って一括はされないの、みんな違うのだから。
だとすれば私たちはね、親世代の責任として、私たちが育ててきた今の若い人たちに、この次の社会をちゃんとやっていってもらえるように期待を込めて育てているわけだし、若い人たちは十分その期待に応えてくれると信じているから。頑張って欲しい。



インタビュー後記


独特の口調とノリのいい話し方にどんどん引き込まれ、あっという間に過ぎた90分でした。
横田議員は、本当に「お母さん」という感じで身近に感じられ、また私たち若者に期待されていることが伝わってきてとても励まされました。
ありがとうございました!



(インタビュー:2003-05)


1952 埼玉県に生まれる。
1974.3 同志社大学文学部(新聞学専攻)卒業。
1975 結婚後、岡山へ。
1995 岡山市議会議員にて初当選。
1999 岡山市議会議員にて2期目当選。
2003 岡山市議会議員にて3期目当選。
2007 岡山県議会議員にて初当選。
※プロフィールはインタビュー時のものです。


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