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2013/3/27インタビューVol.141 [首長] 髙橋勝浩 稲城市長 「日本は「こどもの国」のままではいけない」

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市長

稲城市長 髙橋勝浩

 

政治を志したきっかけを教えてください


小中学生の頃は、私は自分から立候補するタイプではなく、周りから推されるタイプでした。担任の先生から「お前ならできるから是非やって欲しい」と請われて、児童会長を務めたこともあります。
中学から大学までクラブ等に所属してバスケットボールに熱心に取り組んでいたのですが、その際にも一プレーヤーとしてだけではなく、幹事長等の運営側にいることも多く、そのことに大きな喜びを感じていました。
そのような面で考えると、何かを行うにあたってはお客さんとして参加するだけではなく、運営する側に参画したいという気持ちは小さい頃からあったと思っています。
縁あって稲城市に就職したわけですが、その頃からただの被用者としてではなく、まちの経営者として、「自分ならどうするか」を意識して勤めてきました。自分ではもう少し短期間で辞めてしまうのではないかと思っていたのですが、気づけば25年勤めていまして、前任者の勇退というきっかけもあり、ぜひ市長をやりたいと立候補させていただきました。
ただ、実は市に就職した時から、いつかは議員あるいは市長、つまり為政者側になってみたいという気持ちは、小さい時の経験からも感じていました。



公務員から首長になるにあたって葛藤はありませんでしたか


公務員は身分保障があって簡単に解雇されることはありませんから、まず自分から辞めようという人はいません。当時の私は若くして部長になっており、経済的な面などから安定した公務員の地位を捨てることに、家族からも大反対されました。政治家は本当に不安定な仕事で、当選しなければ普通の人よりも不利な立場ですからね。しかし最終的には、公務員という大きな後ろ盾が無くなって自分が不安定な地位になることへの不安よりも、「世のため人のためになることをやりたい」という自己犠牲にも似た気持ちから立候補を決めました。政治家は、この「世のため人のため」という気持ちで立候補している人がほとんどだと思います。



首長の資質とは


まずは大前提として「世のため人のため」という気持ちが強いことがあります。ですが、自分の思う「いいこと」を独断独善で実行するのは間違っていると思います。自分の意見だけではなく、周りの意見を聞く能力は絶対に必要だと思っていますね。周りの意見を聞きつつ自分で判断して決断する、付和雷同にならないようにするのは大変難しいことですが。



市長のやりがいを教えてください


私は就職してからずっと、被用者として言われたことをやるだけではなく「自分ならどうするか」と経営者の目線でずっと働いてきました。上司や市民の意向に添って自分なりに工夫をしてその目的を達成することに、大変なやりがいを持っています。ポストが上がるに連れて、目的に向かって自分の出来る可能性が大きくなっていくのでやりがいもどんどん大きくなっていき、自分自身でやり遂げた時は嬉しくなります。そして自分がやった施策について市民の方からお褒めの言葉やお礼を言っていただけると、それまでの苦労が報われる気持ちで達成感があります。



首長として辛いこと


面と向かって怒鳴られると本当にへこみますね。「怒鳴る」というのは日々の生活に密着している切実な訴えです。ですが、その中に理不尽な訴えがあることも多くあります。行政の長としても、国民の一人としても強く感じるのですが、日本全体として自律心や自己責任の心がなくなってしまっているのではないかと感じています。支援があたりまえのものになってしまっている。カヌーイストで作家の野田知佑さんのエッセイから言葉を引用すれば、「こどもの国」になってしまった。行政としてもいろいろな場面で過剰なまでに保護についての責任を求められる現実があります。そんな中で行政が責任逃れをしてしまっているのは悲しいことですね。



政治教育についてどのように考えていますか


首長として教育の内容にどこまで口を出していいのかという葛藤はあります。独立機関としての教育委員会がある中で、あまり意見を言ってはいけないのではないかと考えています。教育委員会は合議制機関でもあるのでスピーディーさに欠ける面もありますが、偏向した首長による政治的な介入は怖さを感じます。
ただ、ひとつ考えていることは、子ども達には小さい時から政治の実体験を積んで欲しいということです。先生の決めたことを決められたやり方でやるしかない、生徒の自治権があまり認められていないのが現実で、大変残念です。もっと生徒のことを信じて、もっと責任を任せて、生徒会の予算まで含めて考えさせるといいのではないかと思っています。予算があることで、政治の本質であるとも言える利害調整についても学びつつ、自分たちのやりたいことを実行するという成功体験を積むことが必要だと思います。その様な成功体験があることによって政治や行政への考え方も変わってくるのではないかと思っています。



若者へのメッセージ


夢を諦めずに、その夢に向かって突き進んで欲しい。日本は夢を持たない社会になったとも言われますが、夢を持って自分の責任や可能性を考えるのは、とてもワクワクすることです。大人になるに連れて責任も自由度も増しますので、是非とも大人になっても夢を持ち続けて頑張って欲しいと思います。



(インタビュー:2013-03-21)


早稲田大学高等学院卒業(昭和56年3月)
早稲田大学政治経済学部政治学科卒業(昭和60年3月)
稲城市役所入所(昭和60年4月)
稲城市消防団(昭和61年4月から平成12年3月)
稲城市長一期(平成23年4月から)
※プロフィールはインタビュー時のものです。