ジャパンプロデューサーインタビュー

Vol.215 [首長] 高島 宗一郎 福岡県福岡市長 「若者は危機感を持ち、自分の時代を創る動きを」

〝若者は危機感を持ち、自分の時代を創る動きを〟
福岡市長 高島宗一郎
JAPAN PRODUCER INTERVIEW vol.215

福岡市長としては史上最年少の36歳で当選し、
スタートアップ支援や様々な規制改革を行う一方、
著書においては若者へ強いメッセージを伝えていました。
今回は「若者と政治」について高島市長にお聞きしました!

< これからは、若者自身次第 >

ー市長は、著書において「世代間の格差は構造的な問題」と指摘していましたが、この問題解決に重要なことは何だとお考えですか。?

高島市長:

若者が、自分達で自分達の時代を勝ち取りたいかそうでないかにかかっています。自分達で自分達の住む、国や社会を創っていきたいと思っているのか、それとも与えられた条件の中で生きることに満足するのか、それ次第だと思っています。

私の場合、私の世代のために頑張ってきました。私達の世代はいわゆる団塊ジュニアで、バブルがはじけた後の就職氷河期時代。人口がとても多く、学校は1学年10クラス以上、受験の倍率も常に高い状態にあったわけです。上の世代だけが良い時代を過ごして、自分たちの世代はそのツケを払うだけなんて嫌だなと感じます。自分達の世代も良かったと思えるように、自分で最高の時代を勝ち取りたい、創っていきたいと思い、チャレンジをしています。

「構造的な問題」の話ですが、本の中では一票の格差を世代間であえてつけて、少子高齢化が進み、構造的な弱者になっている若者、つまりこれから一番長く生きていく層の一票の価値を重くすることを提案しています。ただこれも、そもそも若い世代が「自分達で自分達の時代を勝ち取りにいくぞ」という気持ちを持っていることが大前提です。

このコロナ禍での対応を見ていても分かると思いますが、若い人たちの経験や機会といった点は全くと言っていいほど配慮されていない訳です。親やおじいちゃん・おばあちゃん達は、子どもや孫のことをとても考えてくれると感じるでしょうが、それは全て家庭の中の話です。社会においては、黙っていると全部持っていかれてしまうという点は、常に意識をしておかなければなりません。

何度でも言いますが、少子高齢化が進む中、若者自身が変わらなければ、社会における若者の存在感は日々薄まっていく一方です。そこに危機感を持ってほしいと思っています。

ー「若者と政治」の問題について取り組む団体、組織は多いですが大きくは変えられていないのが現状です。そこにある根本的原因は何だとお考えでしょうか?

高島市長:

ずっと右肩上がりで人口も増えているという時代であれば、無思考でもそれなりに生きていけるのかもしれません。しかし、現代において無思考でいることは大きなリスクになります。

さらに重要なのは、思考で終わるのではなく行動です。”think”からいかにして”do”に持っていくかです。そして、真剣に自分達の望む世の中を勝ち取りに行くためには、手段を選んでいる場合ではないと思っています。権利というものは当然に相続されるものではありません。黙っていても、誰も相続などしてくれないのです。

「若者と政治」に取り組む団体に限った話ではないですが、若者は直接的に政治活動に加わらないことが多いです。私は、これが問題だと考えています。

自分達のみで議論をして、こうなったらいいなというような「べき論」を提言書にまとめて誰かに提出したからと言って、そのようなものを読む人はまずいません。読む必要がないからです。そうではなく、相手がこれを真剣に読んで、真剣に実現しようと思うような力を付ける必要があるのです。そのために重要なのは「べき論」ではなく「フィジビリティ」。つまり理想と現状を繋ぐ実現可能性です。そこについて必死に考えないと、若者にとってものすごく大きな損失になります。

自分達の時代は、当事者である自分達が本気になって勝ち取りにいかない限り訪れない。

私はよく、日本は今日が一番若いと言います。明日の日本は、今日の日本よりもより高齢化し、保守的になっています。高齢者の増加により社会の負担が大きくなり、社会保障などの必ず必要となる費用が増え、将来に向けた投資的な部分に使える予算は少なくなっていきます。行動は、一日でも早い方が良いのです。

< インフルエンサーの政治がこれからをつくる >

ー市長が今の時代の学生であれば、「若者と政治」の問題にどう取り組みますか?

高島市長:

選挙運動を積極的にする団体をつくると思います。要するに、選挙におけるインフルエンサーになるということです。選挙運動とは、一票を投じるという自分の権利をただ単に行使するだけではなく、自分の周りの人を投票につれていくことです。この点において、インフルエンサーはとても影響力があります。政治家からしたら大事にしたい、無視できない存在なのです。

そして、大切なのは批判の活動ではなく、フォロワーとして、応援の活動を行うことです。

批判する人の声は、聞いてもらえないことがほとんどです。批判する人を説得したところで自分の票にはなりません。政治家からすると、逃したくないのは自分を応援してくれる人、フォロワーの票なのです。

そう考えるのなら、全てにおいて「反対!反対!」ではなく、むしろ応援していますよというスタンスで、一つでも二つでも自分達がやりたいことを政治家にとりあげてもらうことのほうが、実現可能性が高くなります。

繰り返しになりますが、大事なのは「フィジビリティ」です。相手にとって真剣に話を聞かないといけない存在、無視できない存在になるためにはどうすれば良いかを考えることが大切です。

< 世の中の仕組みに気づくこと >

ー今後、「若者と政治」の問題はどうなっていきますか?

高島市長:

もしこのまま若者が何もしなければ、若者の存在は本当に無いものとして扱われていくのではないでしょうか。今ですら、全然配慮されていないように見えますが、更に相手にされなくなっていくのではと危惧しています。

そもそもの人口数が少なく、その上投票率も低い。そうなると、高齢者の票さえ押さえておけば、若者の意見は軽視しても影響は無いと、政治家が考えるようになるのも当然です。若者が何もしなければ、その傾向はさらに強まることでしょう。

ーよりフィジビリティを高める具体的な行動が重要になってくるということでしょうか?

高島市長:

そうです。そして、そのためには、世の中の仕組みについて気づくことが大事になります。

昨年の衆議院選挙、私も何箇所か応援に行きましたが、その全ての会場に医師会の人がいました。しかし、飲食店の人は一箇所もいなかったのです。約2年、コロナ禍での苦しい思いを味わい、自分達の意見を政治へ伝えることの大切さを痛感しているはずの、この状況においてもです。

政治家は、政治資金パーティでの金銭面の支援と、選挙の時に力になってくれること、この二つの支えを欲しています。そして、その政治家の時間にも限りがあり、全てのことに対して全力で当たることは出来ません。リソースが限られている以上、使える原資をどこに優先配置していくかが政治家にとっても重要な判断事項になるのです。

そう考えると、限られた政治家の活動原資の奪い合いになっていくわけです。政治家も人です。自分のことを必死で応援してくれる人と、政治とは距離を置きますと言っている人と、どちらの希望を実現してあげたいと思うかは言わずもがなかと思います。
そういった政治家の行動原理を理解し、政治家を味方に取り込んでいくことに長けている団体がいます。若者が自分達の思いを政治に反映させたいのなら、そうした団体と渡り合える動きを若者自身がしなければなりません。

政治は利用するもので、自分達のために動いてくれる人を自分達でつくっていくものなのです。若い人の中には、実際の選挙活動に携わったり、選挙事務所に行ったりした経験がある人は少ないでしょう。ある種の壁を感じているのかもしれませんが、政治家も自分を応援してくれるかもしれない人を無下にはできません。「自分のような若者が行っても相手にされないんじゃないか」などと心配する必要はありません。きっと快く迎えてくれると思いますよ。

< 若者は構造的な弱者であるという認識を持つべき >

ー最後に、若者に向けてメッセージをお願いします。

高島市長:

何度も言いますが、危機感を持った方がいいと思っています。
一人一票というものは、一見公平、平等ですが、人口減少、少子高齢化が進む社会では、実は若者にとっては構造的な不公平、不平等になるということを自覚したほうが良いです。世代間の人口比が全く配慮されていないからです。しかし、被害にあっている人が被害届を出さなければ受理されないように、若い人が問題の改善を望んでいなければそもそも議論にもなりません。

だからこそ、未来をつくっていく人たちの意見をもっと社会に反映させるんだという強い思いを仲間たちと共有し、すぐにでも行動に移すことが大事なのです。

繰り返しになりますが、もう一点は、批判の政治活動からフォロワーの政治活動に変えることです。
「あれに反対」というよりも「これに賛成」というような、誰かを応援するようなフォロワーの活動になった時に政治家はより話を聞いてくれるだろうし、その結果フィジビリティも高まります。

若い人は少数なのだから、少数なら少数の戦い方をしなければいけません。それは例えば、少数であっても、まとまることで一定の票になるのだぞと存在感を高めていく事などが考えられます。

さらに言えば、既に決められた選択肢の中からベターなものを選ぶのも良いですが、もっと積極的に自分達が成し遂げたい理念や政策を実現するリーダーを自分達でつくっていくくらい主体的な関わり方でいいと思っていますし、そうしなければ今の日本で状況を変えるのは難しいと思います。
仲間を若い人の代表として選挙に送り出すなどの活動もあってもよいのではないでしょうか。若い皆さんの、熱い思いと行動に期待しています。

(インタビュー:2022-03-16)

プロフィール

■生年月日 昭和49年11月1日
■略歴
平成9年 KBC九州朝日放送入社。
     福岡の朝の顔として情報番組や環境番組のキャスターを務める。
平成22年 福岡市長就任。現在3期目。

※プロフィールはインタビュー時のものです。
高島市長とのインタビューの様子
2022年3月16日 zoomにて
(左:高島市長 右:ドットジェイピースタッフ)

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