ジャパンプロデューサーインタビュー

Vol.222 [首長] 関口 芳史 新潟県十日町市長 「選ばれる街十日町市であるために」

〝選ばれて住み継がれる 十日町市であるために〟
十日町市長 関口芳史
JAPAN PRODUCER INTERVIEW vol.222

新潟県南部の長野県との県境近くに位置し、
世界有数の豪雪地としても知られる十日町市。
同市では近年移住者が増えており、
選ばれる街になるための取り組みを関口市長に伺いました!

< 回り道の先で見つけた十日町市長への道 >

ー市長になることを志したきっかけを教えてください。

関口市長:

学生時代は市長になるなど考えてもいませんでした。私のふるさとは十日町市ですが、そこに戻ろうという気持ちもなかったです。大学を卒業して東京で就職し、家こそ買いませんでしたが、そこで家庭をもちました。ですから、東京でそこそこの人生で一生を終えるだろうなと思っていました。

しかし、父親と兄弟の他界により母親が一人になったため、私が十日町市に戻るしかありませんでした。そこでふるさとに帰り、私のファミリービジネスである着物製造会社に就職し、母親と一緒に生活をすることに決めました。ただ、その時も市長になるとは思ってもいませんでしたね。

十日町市に戻り7年ほど経つ中で、まちづくりに関わるチャンスもありました。そして、当時一緒に活動をしていた日本青年会議所のOBなどから市長に出てみたらという話もあり、そこでようやく市長という選択肢もあるのかなと思うようになりました。その時はさすがに選挙には出ませんでしたが、選挙で新しく当選された当時の市長が私に「助役になってくれ」と頼んできたのです。助役というのは今で言う副市長ですね。今から20年前ですが、行政の世界に飛び込みました。その後、お仕えしていた市長が次の市長選で落選したのですが、今度は当時の新潟県三条市長から収入役になってくれと言われ、三条市の特別職として3年働きました。この期間に政治の色んな複雑さや解決力を改めて学ばせていただき、ふるさと十日町市に戻り市長になることを決めました。回り道をした先で50歳になりやっと目標が定まったのです。

< 選ばれる街十日町市であるために >

ー十日町市長としてどのような街にしていきたいとお考えですか?

関口市長:

市長を目指す前の数年間でふるさとを冷静に見て、自信を失っている市民が多いなと思いました。十日町市も良いところと悪いところのどちらも持っているはずなのに、市民からは悪い話ばかり聞かされていました。例えば、雪がいっぱい降るから困る、人がいなくなって寂れていく、織物という地場産業が急速に衰退しているなど、様々な不満がありました。

そんな不満も聞く中で、みんなが自分の街を誇ることのできている明るい心持ちで過ごして欲しいと思いましたね。しかし、逆に外から十日町市を見てくれる人は「十日町市にはこんな魅力がありますよ」と言ってくれることが結構ありました。例えば、雪は多いけど美しい雪景色があったり、山からの山菜の恵みが豊富だったりと。市の中にいると不満になることでも、視点が変われば魅力に映ると気付きました。そこで、まずは外の人たちに選ばれるような街にしていきたいと思いました。そして、外から人が来て十日町市の魅力を発信してもらうことで、市民にも自分の街の良さに気付いて欲しいと思ったのです。

ー選ばれる街になるために何が必要だとお考えですか?

関口市長:

そもそも人に好かれる人というのは元気で、明るくて、優しくて、しかも落ち着きのある人ですよね。街の様相も同じで、選ばれる街とはこういった要素を満たしている街だと思います。そうした中で十日町市にとってまず必要なのが安心・安全だと思ってもらうことです。そして、豪雪地帯なので雪に関する問題はクリアしなければなりません。また、特に若い女性の市外流出の傾向が続いていて、そこで生活の基盤を作り、Uターン率が低いという問題もあります。そういった若い女性に安心してもらうためには子育ての支援もしていかなければなりません。

安心・安全ができた上で、特に観光施策を通して十日町市の特色もアピールしていく必要があります。そして、訪れた人に感じてもらいたいのが、際だった四季の変化やフォッサマグナの中に位置するからこその独特の地形、山々と人々の生活が生み出した里山などです。そして、十日町市の大自然の魅力を伝えて行くために20年以上取り組んでいるのが、大地を美術館に見立て野外の現代アート作品を展開する『大地の芸術祭』です。訪れてくれた方には、現代アートを廻りながら十日町市の美しい魅力にぜひ触れて頂きたい。地域おこしの手法としても注目を浴びる『大地の芸術祭』には今後とも力を入れていきたいと思います。

ー市外の方から選ばれる街になることで実際に市民の自信も回復してきましたか?

関口市長:

住んでいる人から、いまだに「こんな田舎に生まれて残念だ」と言われます。しかし、先ほども述べたように、市民にこの地の良さを再認識してもらうために1番効果的なのは、外の人に魅力的ですねと言って頂くことです。実例を言うと、市内に住む高齢者で自分だけが市に残り、他の兄弟は都会で生活しているという人がいます。長年その方は田舎に住む自分にコンプレックスも感じていたかもしれません。しかし、今になってみれば東京での生活も楽しいかもしれないが、田舎での生活も悪くないなと思ってきているようです。このように、市外から来た人に繰り返し、十日町市の魅力を伝えていくことで市民も自信を取り戻してきていると思います。

< 学生へのメッセージ >

ー政策立案をする学生に向けてメッセージをください。

関口市長:

1つのことをやりたいと思ったときにいろんな制限が出てきますよね。例えば、お金がないとか人材がいないとか。しかし、お金の問題は案外解決できたりするものです。ですから、大事になってくるのは人です。特に課題を見つける上で必要になるのが人なのです。何かの課題に向かっていくときには、キャッチボール出来る人を見つけてみてください。普遍的な課題を見つけたら、それを解決するために、自分の組織外でキャッチボールできる人を見つけてみる。そして、その人と解決策を練り上げていくことを意識してもらいたいと思います。

(インタビュー:2022-03-24)

プロフィール

■生年月日 昭和34年2月8日
■略歴
昭和52年3月 都立青山高等学校卒業
昭和57年3月 東京大学法学部卒業
昭和57年4月 野村證券株式会社入社
平成7年11月 株式会社関芳入社
平成14年4月 十日町市助役
平成17年7月 三条市収入役
平成21年5月 十日町市長就任

※プロフィールはインタビュー時のものです。
関口市長とのインタビューの様子
2022年3月24日 zoomにて
(左:関口市長 右:ドットジェイピースタッフ)

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