ジャパンプロデューサーインタビュー
Vol.122 [首長] 邑上 守正 武蔵野市長 「若いときには、失敗を恐れずに様々な経験をしてください。得るものがたくさんあります」
市長
武蔵野市長 邑上 守正
所属 武蔵野市
選挙区 東京都武蔵野市
市長になろうと思ったきっかけを教えてください。
2つ理由があります。自分の故郷のまちづくりをしたいという思いと、子育てを通じて見えて来た地域の課題解決をするために市長になりました。
私は市長になる前は都市プランナーとして全国のまちづくりをしていたのですが、
その集大成として自分の故郷のまちづくりをしたいと思ったことです。大学卒業以来、
手がけてきたものを、故郷のために、これからの人生をかけようという思いがありました。
また、子育てを通じて様々な地域の課題が見えてきたことです。例えば、子供が生まれてから、保育園のことについて市役所にお願いに行っても、なかなか解決につながりませんでした。そのような市政の問題も感じていたので、地域のために何かできないかなと思ったのがきっかけです。
つまり、自分が歩んできたプロフェッショナルな道の延長として、そして地域の市民として、その二面性から市長を選びました。
やりがいを感じるのはいつですか?
地域の人のリアクションをもらう瞬間が嬉しいです。
調整型まちづくりは短期間ではできなく、時間がかかります。まちづくりの議論をしたのちに、皆さんが計画を見て、笑顔で良い案だね、と納得されるのがとても嬉しいです。
また、市民の皆さんの笑顔に触れるのは何よりの励みです。ちょっとしたことでもありがとう、と言っていただけることは大変嬉しいです。
あとは、困難な課題の対応策を考え、実施し、よかったです、などの声をいただくことにもやりがいを感じます。
市のVISIONを教えてください。
「子育て施策」「市民が主役の市政」「個性あるまちづくり」がキーワードです。
私が市長になった原点は子育てです。私は地域の学童クラブの父母会の会長をやっていました。ところが学童クラブに応募される子供の人数が増え、定員オーバーで入れなくなってしまった子が出てきました。
そのような課題を抱えて市とやり取りをしたこともあり、子育て施策は市の大きな課題であると考えています。
それともうひとつは、市民参加の市政です。市民が主役の市政、市民の多様性を力にしていく、市民のつながりを広げていこう、ということを武蔵野市第五期長期計画のキャッチフレーズに掲げています。市民は財産です。今でも市政の柱は、市民が主役ということと、子育て支援ですね。
また、バランスの良いまちづくりも心がけています。
吉祥寺、三鷹、武蔵境、やはりそれぞれ違うので、まちづくりの方向性も違ってきます。様々な特徴があるまちがあってこその武蔵野市だと思っているので、個性あるまちづくりをしていきます。
市長の学生時代のエピソードを教えてください。
まじめな学生でした。高校ではサッカー部で、部活が中心の生活を送っていました。全国大会を目指しサッカー漬けの毎日だったので、学校の行事にはあまり参加できませんでした。
大学は、学費を自分で払うという約束を両親とし入学しましたので、大学生のころは勉強とバイトで大変でした。
建築学科は課題が多いことに加え、私はバイトもあり、サークル活動はできませんでした。バイトを頑張りながら徹夜して課題をこなしていました。その当時の仲間とは卒業して30年過ぎた今でも交流が続いています。一緒に課題をこなし、建築や都市の勉強のためにいろんな町を旅行した仲間です。今でもいろんな面でお互い支えあっています。
武蔵野市は大学が多いですが、大学生と市が共同で行っている施策などはありますか?
武蔵野地域五大学にご協力していただき、生涯学習などを盛んに行っています。また学生をもっと応援し地域に積極的に関わっていただきたいと考えています。
そこで、各大学に防災訓練への参加や震災時の帰宅困難者の大学での受け入れなど、お互いの協力を提案しています。また、商店街のイベントにも参加していただいています。若い人の参加により、イベントがとても盛り上がるので、地域の活性化につながります。
また、昨年にはタウンミーティングという意見交換会の場を学生対象に設けました。
市長に就任してから7年間、計49回行ってきましたが、今までの参加者はやや年齢層が高く、意見も偏りがちでした。誰でも参加できるにもかかわらず、若い人がいませんでした。
そこで、学生に実行委員をやっていただき、1回目は「武蔵境のまちづくり」、2回目は「吉祥寺のまちづくり」というテーマで行いました。ごみ問題など生活に関する意見や予想だにしない意見もあり、おもしろかったです。今後も若い人の意見を聞く意見交換の場をつくり、市政に反映していきたいと思っています。
市内のおすすめスポットについて
武蔵野プレイスです。文化の創造発展の施設をつくりたいと思い、武蔵境駅の南口に建設しました。図書館と生涯学習のフロア・青少年の活動フロア・市民活動のフロアを併せ持つ施設です。駅前にあり、建物の前にある公園の芝生が良い使われ方をしています。
昼間は親子が遊び、夜になるとカップルがたくさんいます。22時までやっている、とても緩やかな施設です。1階にはカフェがあり、コーヒーを飲みながら(午後5時を過ぎるとワインを飲みながら)館内の本が読めます。
地下2階の青少年フロアは多目的に使える場所で、楽器やダンスの練習ができるスタジオもあります。大変人気で、利用者数は年間140万人、2年目を迎えた今、市民だけでなく周辺地域の方まで、沢山の方が利用されています。そこで様々なイベントも仕掛けているので、徐々に横のつながりもでてきたのではないかと思っています。ぜひ一度お越し下さい。
若者にメッセージをお願いします。
色々なところに行き、見聞を広める活動をしてください。今はそういう活動が活発ではない気がしています。
若い時代は、失敗を恐れずに様々な経験をしていく中で、発見することがたくさんあります。
そして、住んでいる地域の市民の一員であるという自覚を持ち、地域活動にも参加してほしいと思います。どのようにしたら自分たちの生活がより良いものになるか考え、提案していただきたく思います。
20代の投票率は20%程度です。年代が上がると投票率も上がっているので、若い人が損をしています。政治は今ある課題を解決して、未来のためにやっていくものですが、その割には未来を担う人たちの意見があまり出ていないと思いますので、選挙から関心を持ってください。未来につながっていくのが政治なのです。
昭和56年 都市計画コンサルタント会社に入社
平成15年 都市プランナー
平成17年10月 武蔵野市長就任、現在2期目