ジャパンプロデューサーインタビュー

Vol.123 [首長] 藤本 正人 所沢市長 「日本の未来を考える主役は若者である」

市長

所沢市長 藤本 正人
所属 所沢市長
選挙区 埼玉県所沢市

 

所沢市長になったきっかけを教えてください。


県議会議員としての東日本大震災を受け、選挙が終わり、東日本大震災のボランティアに訪れました。そこで、連帯の大切さを感じたこと、そしてボランティアの若者たちの姿をみて思うより動く時代なのだ、と実感したことです。大震災、津波に伴い、原発、経済、さまざまな問題が表面化しましたが、その根本は一人一人の価値観にあり、人と人の絆、人と自然のあり方を見直す必要を感じたのです。大人は次の世代を担う子供のために、まずはみんなで価値を決め、その後は連帯して行動に移していくべきだと思いました。
市長になり、全力で市の運営をするなかで、人と人の絆を深めること、便利や快適を盲追するのでなく、人間も自然の中の一員なのだと思い定め、様々な仕組みをつくり、実行しています。



市長は10年間教師をしていたとの事ですが、詳しく教えてください。


私は10年間中学校の国語教師を務めていました。その中で教育への問題を肌で感じていました。ちょうど教師生活7年目から9年目の時にアメリカへ渡ったのですが、その時期に日本のゆとり教育が始まったと感じています。帰国してみると、教育が「指導すること」から「支援すること」へと、変貌していました。例えば当時、野球部の顧問をしていたのですが、従来当たり前だった坊主頭も部員数を増やすために長髪が許されるようになっていました。そこで、教育とは何かを考え始めました。いったん価値観を伝えたら、最後まで貫く。また、その重責を背負いながら、きちんと伝えきること、それが教育なのではないか!?
教師とは、勉強を教えるだけではなく、本気でやって本気でぶつかり、最後まで面倒見る。子どもの生活、人生にも立ち入っていくことが、子どもの将来のためになると考えました。



なぜ教育の世界から政界へ移ったのですか。


市議会議員だった親が体を壊し辞めることになり、長男だった自分が、周りから背中を押されたことと、教育界が「ゆとり」と「スリム化」に流れていたことに疑問をもったことがきっかけでした。アメリカから帰国し、新しい学校に赴任したばかり、生徒たちともこれから、という時だったので、進路には迷いましたが、教育の大きな流れを決めているのは国であり、学校という現場ではなかなか仕組みは変えられないと感じ、議員になって、大きな仕組みを変えることで、問題を本質的なことから解決できる可能性があると考え、市議選出馬を決意しました。



市長のやりがいについて


責任は重すぎるほどにありますが、職員を巻き込んで、世の中を仕組みから変えて行けるダイナミックさがやりがいです。
市長は議員と違い社長のようなもので、職員の協力によって思ったように突き進むことができます。本気になれば、多くのことが変えられる、動く。それはすごいことです。



所沢市の魅力について


緑が多いことや、都心に通うのが便利なことです。また、宮崎駿監督など、文化的に高い水準の人々が多く住むことも魅力の一つです。また、4つの大学、7つの高校、2つのプロスポーツチームを擁していることも、潜在力の1つです。



若者の政治参加について


政治に関心が向くのは、不都合に直面したときか、子どもを持って世帯を構えたときが一般であり、若者はまだそこに達してはいません。しかし、世の中を動かしていくのは、世論であり、それを反映した政治です。大震災のボランティアも脱原発のデモも、政治参加です。選挙に関わってみるのもボランティアの1つです。まじめに、純粋に、若者の特権で動くことを期待しています。



若者に一言


若者の良いところは、知らないがゆえに純粋に理想を追及できるところだと思います。しかし、世の中に慣れていくうちに、処世を身に着け、鋭さがなくなっていく恐れがあるかもしれません。
今の状況、今抱いている想いを大事にしてほしいです。
東日本大震災が起こり、今までの価値観ではない、新たな生き方をしていかなければならなくなりました。今の日本を未来にどう伝えていくか、今後どうしていくべきなのか、それらを考える主役は、若者だということを心に留めていってほしいと思います。



(インタビュー:2013-02-01)


早稲田大学第一文学部卒業
国語教師として市内中学校、ニューヨーク日本人学校に勤務
平成  7年  所沢市議会議員(Ⅱ期)
平成15年  埼玉県議会議員(Ⅱ期目途中で辞職)
平成23年  所沢市長
※プロフィールはインタビュー時のものです。

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