ジャパンプロデューサーインタビュー

Vol.140 [首長] 富岡 清 熊谷市長 「地域に参加し、社会に対して目を開いて欲しい」

市長

熊谷市長 富岡 清
選挙区 埼玉県熊谷市
公式ホームページ

 

市長になろうと思ったきっかけは何ですか?


私の祖父は熊谷市が合併する前の村の議員であり、父も政治好きなタイプでした。そのため、小さいころから政治や選挙といった話題の多い家庭であったように感じます。そのような環境にあったので自然と小さいうちから政治や政治家に興味があり、自分もいつかそうなるのだろうという淡い期待を抱いていました。それに合わせて人生設計もしてきたともいえ、大学や地元の農協での様々な経験を経てちょうど30歳の時に市議会議員に当選しました。その後、市議会議員を2期、県議会議員を3期務める中で熊谷市のかじ取りをやってみたいと思うようになり、平成14年に市長に就任しました。幼いころから自分の夢を具現化するために何が必要かを考え行動したことが、実際に市長として夢の実現につながったと思っています。



市長をやる上でのやりがいを教えてください


子供たちの笑顔があふれるまちにしたいと考えています。様々な施策が、子供の笑顔につながることを考えると、大きなやりがいを感じます。
私が市長になった平成14年は熊谷市で合併の話が出ていた時期でした。そのような大きな分岐点におかれた中で、熊谷市として合併を間違いのないものにしなくてはならないという思いで市長に就任しました。
また、同時期に埼玉県では国体が行われることが決まっており、そのメイン会場が熊谷市でした。この一大イベントも成功させたいと考えていました。この双方を成功させることができた経験が今のやりがいに繋がっています。



若者を巻き込んだ活動は何かされていますか?


私は市民協働、つまり市民と行政が「協働」してまちづくりを進めることを目標にしています。そのために若い人にアイディアを出して頂き、行政がその活動をなるべく実現していくという働きかけをしています。
例えば今年は市内の専門学校でビジネスコンテストを予定しています。今想定している市内の専門学校は高校を卒業してすぐに入ってくる人が多いため生徒は20歳前後、まさに若者を対象としています。そこで出た若者のアイディアや声を行政に生かしていければと考えており、今からすごく楽しみです。
一方で、市で開設している直実市民大学やけやき大学では高齢者を対象に様々な熊谷に関する教室を開き、幅広い市民の方の学習機会を創出しています。そういった面を鑑みると市内には若者から大人まで学習の機会が多い環境が整っているともいえます。



未来の熊谷市を担う人材を育成するためにどのようなことをされていますか?


今年企画しているビジネスコンテストもそうですが、市内で行われるうちわ祭には毎年若者が沢山参加してくれています。時には参加するだけでなく、企画に加わってくれることもあります。そういったイベントに携わる機会を通じて若者に熊谷市や日本全体について討論してもらい、社会に対して目を開いて欲しいと考えています。
例えば、そのような活動の一つとしては熊谷ジュニア議会があげられます。この熊谷ジュニア議会は、市内の中学二年生を対象としていますが、開催前にワークショップを実施しています。発端は中学校同士の横の関係が足りないという生徒からの意見でした。学校は一つの社会なのでそこで自己完結してしまうことが多いので、ジュニア議会のように様々な学校の生徒が集い、討論する場を設けることで横のつながりを強めようとしています。そのような機会が若者に市政への興味を深めてもらう助けになれば、とも考えています。そのためには常に若者に発信する場を設けていかなければ、と考えると同時にこのような機会の質の向上も必須だと考えています。



熊谷市をアピールするためにどのようなことをしていますか?


例えば熊谷市では市役所の職員や市民が出演する「あついぞ!熊谷」というメッセージビデオを作り、熊谷市を対外的に発信しています。その他私自身もFMラジオに出演し、イベントの宣伝などを行っています。このような発信の仕方は県内外を見ても珍しいと思います。
また、近々新たなPR活動の一環として、「スマイルdeクール時計」を実施する予定にもなっています。これはインターネットの人気サイト「bijin-tokei」(株式会社美人時計)と本市の暑さ対策のホームページをリンクさせ、情報発信するものですが、若い職員から提案された当初は、変なイメージをもたれるのではないかと不安に思っていました。けれども、熊谷市を発信する新たなツールとして話題性もあって面白いのではないかと思い、今回実施に踏み切ることになりました。これをきっかけに熊谷市の社会的認知度が上がれば、と考えています。
熊谷市では職員からメンバーを募り、若手職員によるプロジェクトチームを編成し、新規事業の企画立案の機会を設けているのですが、今年度実施する「スマイルdeクール時計」もプロジェクトチームの提案によるものでした。実際、職員の提案時にはプレゼンを行い、審査を行っています。このような提案制度で若者の意見を取り上げることで、魅力的な市政を実現するとともに職員の士気も上げることができていると考えています。大きなお金で派手なことをやろうとするのは難しいですが、今回の美人時計のように予算的に小さな政策であっても市政の進展に繋がることは沢山あります。私は小さな政策であっても光る政策を職員とともに作っていきたいと考えています。



夏にとても暑くなることで有名な熊谷市ですが、市として何か対策はされていますか?


平成19年に日本最高気温40.9度を記録し、暑さを逆手に取った取組「あついぞ!熊谷」も有名ですが、熱中症予防などの暑さ対策は、「暑さ対策日本一」を目指し特に力を入れています。
例えば夏には駅前のドライミストや涼しさを思わせる階段アートを設けています。その他にも冷たいスポーツドリンク、飲料水を市の施設に常備するまちなかオアシスの設置や官民共同でクールシェア事業を展開し、暑さ対策を充実させています。最近部活動中などの熱中症による事故も多いですが、熊谷市ではそのようなことが起こらないよう、市内の中学生を対象に熱中症予防講座を行っています。熊谷市のこのような活動が暑さ対策のモデルケースになっていけば、と考えています。



最後に若者に何か一言お願いします。


地域の行事にどんどん参加してください。若者にとってみれば地域の行事は時に窮屈な古いものに見えてしまうかもしれませんが、行事に参加したり覗いてみたりするだけでも地域への興味度合いが変わってくるのではないかと私は考えています。市内で行われるうちわ祭もそうですが、近々さくらマラソン大会もあるので運動が好きな方はそのような場に参加することも一つのきっかけだと思います。



(インタビュー:2013.03.15)


昭和51年 早稲田大学法学部卒業
昭和51年 熊谷市農業協同組合に勤務
昭和58年 熊谷市議会議員(2期)
平成3年  埼玉県議会議員(3期)
平成14年 熊谷市長(1期)
平成17年 初代熊谷市長(合併による新熊谷市誕生)現在2期目
※プロフィールはインタビュー時のものです。

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