ジャパンプロデューサーインタビュー

Vol.197 [首長] 熊谷 雄一 青森県八戸市長 「世界を見つめ、地域を創る」

〝世界を見つめ、地域を創る〟
八戸市長 熊谷雄一
JAPAN PRODUCER INTERVIEW vol.197

青森県第二位の人口を誇る八戸市。
日本有数の水産都市、北東北最大級の工業都市としても有名です。
そんな八戸市の市長である熊谷雄一市長にお聞きしました!

< 市長になったきっかけ >

ー今回の市長選挙で八戸市長を志したきっかけについて教えていただいても宜しいでしょうか?

熊谷市長:

大学卒業後、当時築地にあった魚市場で4年少々仕事をし、その後八戸で漁業会社の仕事や、水産業全体の仕事をするようになりました。また、八戸商工会議所青年部で八戸のまちづくりにも取り組みました。その中で、これからの八戸市を良くするためには政治の力が必要だと感じ、平成13年に市議会議員に挑戦をし、その後、青森県議会議員になりました。

ご存知の通り人口減少社会に加え、コロナの感染拡大、デジタル改革、カーボンニュートラル等の環境問題という課題がありますが、解決を図ることによって新しい八戸市を作っていくチャンスじゃないかと考え、かなり悩みましたが、自分の政治に対する志を八戸市政で全うしたいという思いで八戸市長に挑戦を致しました。

ーやはり八戸市を良くしたいという思いが軸となって市長選挙に臨んだのでしょうか?

熊谷市長:

そうですね八戸を変えたい、新しい風を吹かせたいということはありましたが、根本は自分の生まれ育った八戸市を良くしたい、更に八戸市を発展させたいという思いが強かったです。

< バランスの取れた八戸市 >

ー熊谷市長の中で30年後の理想の八戸市はどのような街でしょうか?

熊谷市長:

例えば、カーボンニュートラルの目標が今から約30年後の2050年ですので、今以上に環境問題への対応が進み、環境、経済、社会とのバランスが取れた八戸市にしていかなくてはいけないと思っています。特に八戸市は産業都市ですから、循環型社会に向けた産業振興が進んでいるのではないかと思います。
また、デジタル化ということも今言われていますが、30年後には現在想像している以上にデジタル化が進み、市民生活の質の向上にも繋がっているかと思います。
それから、2030年の目標としてSDGsという持続可能な開発目標がありますが、この考え方がより浸透していると思います。
そして、グローバル社会の中で外国人の方との「多文化共生社会」と言いますが、お互いに認め合うような社会にしていきたいなと考えています。

ー確かに、八戸三社大祭などのお祭りでは外国人への案内が手厚い印象でした。

熊谷市長:

外国人の方に八戸市の文化を理解してほしいと思いますし、やはり困っていることもあると思いますので、私たちも外国人のことをもっと理解をしながら共生をしていくということが大事かと思います。また、カラフルという言葉も出始めていますが、外国人だけではなく色んな方が活躍できる八戸市にしていきたいなと考えています。

< 〝対話と共感〟で創る理想の八戸市 >

ー30年後の理想の八戸市を実現するに当たり、現時点での一番の課題について教えていただけますか?

熊谷市長:

喫緊の課題はコロナ対策です。オミクロン株が八戸市内でも出始めていますが、この感染拡大を防ぐ一方で、経済や社会を回さなければ大変なことになりますので、両輪で取り組んでいく必要があります。また、コロナ禍がいつまで続くかは分かりませんが、ウィズコロナやアフターコロナにも対応しなければならないと考えています。

そして、変化への対応というのは新しいことを始めるということだけでありません。今現在ある八戸市の様々な伝統や芸術、地域コミュニティ等を守っていくためにも中長期的に変化に対応しなければならないと考えております。

それから、人口減少をどう捉えてどう対応していくのかということも課題です。持続可能な街づくりということを考えますと、SDGsへの意識を高めていく必要があるのではないかと思います。他にも、カラフルな社会への意識を高めていくというようなことがこれからの課題ではないかなと思っています。

ー30年後の理想の八戸市を実現するために、どのように変化に対応していくのでしょうか?

熊谷市長:

環境の変化に的確に対応するためにはカーボンニュートラルに挑戦をしなくてはいけませんし、デジタル化も他の都市に負けないように進めていかなければなりません。

それと、人口減少は大きな課題ですが理由が2つあります。一つは自然減です。自然減に対応するためには子育て支援もしていかなくてはいけないと考えています。また、もう一つの理由は人口流出です。若者の中でも特に女性が八戸市から流出する割合が高いため、若者や女性にとって魅力のある街づくりにしていかなければならないということもあります。それから、八戸市の最大の特徴は産業都市と先程申し上げましたが、若い人たちがこの八戸で働ける場所を作っていくことが大事ですので、既存の産業政策に加え、カーボンニュートラルやグリーン社会に向けた産業政策をより充実させることで、若者や女性に八戸市に定着してもらうということが必要だと考えております。

私自身「対話と共感」という考え方を打ち出していまして、昨年末に新成人との懇談をしまして、様々な街づくりに対するアイデアを頂きました。「対話と共感」の中で若い人たちともこれから対話をし、そして、皆さんにも八戸の市政を理解してもらいたいと思いますし、できればお互いに共感を生みながら一緒に新しい八戸市を創造していきたいと考えています。

< 世界を見つめ、地域を創る >

ー最後に、参加する学生に対し伝えたいことはありますか?

熊谷市長:

若者らしく大胆な政策を打ち出してもらえればと思います。
私が八戸市に戻ってきたときは「世界を見つめ、地域を創る」というのが私の中での一つのスローガンになっていました。外国人との共生のお話もありましたが、グローバル社会でも「世界を見つめ、地域を創る」というのは基本線だと思います。
あと、どのように変化に対応するかという質問を頂きましたが、我々も勿論考えますけれども、是非、学生らしく環境問題やデジタル化にどう対応していくのか考えていただきたいと思います。

また、可能であれば今の立場の中で様々な都市の政策等を研究しながら、将来的には八戸市に来て頂き、一緒に八戸市を創っていきたいと考えています。

(インタビュー:2022-1-17)

プロフィール

■生年月日 昭和37年9月7日
■略歴
昭和60年 日本大学法学部政治経済学科卒業
平成13年 八戸市議会議員
平成15年 青森県議会議員(5期)
平成23年 東日本大震災対策特別委員会委員長
平成27年 議会運営委員会委員長
平成29年 青森県議会議長
令和 3年 八戸市長 就任

※プロフィールはインタビュー時のものです。
熊谷市長とのインタビューの様子
2022年1月17日 zoomにて
(左:熊谷市長 右・下:ドットジェイピースタッフ)

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