コラムcolumn

2022/3/18 ジャパンプロデューサーインタビュー
Vol.207 [首長] 門川 大作 京都府京都市長 「1000年の歴史を学び、1000年後の京都・世界を展望する」

〝1000年の歴史を学び、1000年後の京都・世界を展望する〟
京都市長 門川大作
JAPAN PRODUCER INTERVIEW vol.207

794年の遷都以来1000年に渡り日本の首都として歴史と文化を紡いできた京都。
古都京都のこれからについて、門川市長にお聞きしました!

< まちづくりの基礎となる人づくりを、市長という舞台で発揮せよ >

ーどういった経験が市長の原点となっていますか?

門川市長:

1950年に生まれ、日本が平和になってくる時代に育ち、もう戦争は無い時代になるだろうとも思っていました。しかし、高校生の時に、ベトナム戦争が激化。沖縄からベトナムへ、次々に米軍機が飛び立つ様子を見て、反戦運動や高校での自治活動に参加するようになりました。大学紛争も激化し、多くの大学でバリケードが。私は大学進学に意義を感じず、受験勉強もしていなかったことから、家に近い市役所の試験を受けたんです。高校卒業後は、市職員として働くことになります。

最初の配属先は、教育委員会でした。私が高校生時代にまさにデモをかけていた所でしたが、そこでの仕事は私にとって目からうろこの経験ばかりでした。そこには、日夜、学校教育と子どもたちのことを考え、懸命に働く人々がいたからです。
そして、教育に情熱を注ぐ人々の渦の中に入って必死に仕事をしていく中で、やはり大学で学ばなければならないという重要性を感じ、夜間の大学に通い始めました。大学と職場を往復する4年間の学びが、私の原点となりました。

ー市長になられた時の想いを教えてください。

門川市長:

長年教育委員会で、子どもの教育と生涯学習に携わってきました。2001年より教育長を務めさせていただきましたが、その任期で目指したのは、市民の皆さん、保護者の皆さんのお力を借り、開かれた学校を構築することでした。地域の方々、PTA等の保護者代表、時には大学の先生、経済界の方々に学校運営協議会に入っていただき、「子どもの応援団」になってもらいました。こうした、京都ならではの文化力・地域力を活かし、開かれた学校を構築する改革は、公教育再生のモデルと評価され、政府の「教育再生会議」の委員も務めました。

2008年に、前市長が3期目で退任となり、当時の議会・議員や経済界・労働界・連合京都からの市長立候補の要請を受けました。私はその要請を、これまで教育長として大事にして取り組んできた、子どもの教育や生涯学習といった人づくりを、市長として京都全体の舞台で発揮せよと期待されているのだと受け取りました。全国トップ水準まで向上してきた京都の教育、人づくりを、「まちづくり」という更に新たなステップに上げて加速させていくのだと決意をして、市長選に出馬しました。

< 1000年の京都の歴史を学び、1000年後の京都を展望 >

ー市長として描く未来の京都市はどういったものでしょうか?

門川市長:

哲学者として著名な故・梅原猛さんには、毎年お話を聞かせてもらっていました。90歳の卒寿の時には、「京都で学んできてよかった」というお話をお聞きしました。仙台出身の梅原さんは、18歳の時、東京の大学で学ぶか、それとも京都の大学で学ぶか悩まれたそうです。その時の決め手となったのは歴史。東京では100年の真理が学べるが、京都では1000年の真理が学べるということで、京都に来られたと。そして、京都で学んでよかったと。

確かに、10年後、20年後を考えていく事も大事です。しかし、それ以上に大事なのは、1000年の歴史を学び、1000年後の京都・世界を展望しながら、100年の計画を立て、この10年20年をしっかりと考えていく事です。特に今日のコロナ禍や、激甚化する自然災害、更には、世界的な政治の動乱等により、人間の生き方・都市の在り方が問われています。京都の千年を超える歴史は、疫病・自然災害・戦乱等の歴史でもあり、それを町衆の力で乗り越え、より魅力的なまちづくりを展開してきました。

目指すべき像は、「若い世代に選ばれる千年都市」「文化と経済が好循環を作り出す都市」「持続可能性を追求する環境・グローバル都市」「「知」が集うオープンイノベーション都市」そして、「伝統と先端が融合するデジタル創造都市」です。
とりわけ、環境問題については、京都議定書誕生の地として、カーボンニュートラル、2050年CO2排出量正味ゼロを全国に先駆けて宣言し、既に取り組みを加速させています。こうした「環境先進都市」,「SDGs未来都市」京都を創っていきたい。

ー今の京都市にはどういった課題がありますか?

門川市長:

市長就任以来、職員数の削減など、財政問題に取り組んできましたが、このコロナ禍によりさらに深刻な問題となりました。

そこで、徹底した行財政改革の断行です。持続可能な財政を確立するため2年にわたり京都市の財政状況をフルオープンで議論。これに基づいて、まずは市役所内部の人件費削減等の改革から進め、令和4年度予算編成においては、この改革を続ければ明るい展望が見えてくるというところまで来ています。京都のあらゆる強み、ポテンシャルを生かした成長戦略を実行し、市民生活を豊かにする。そして、財政危機を克服し、魅力あふれる京都を次の世代へと繋ぐ。引き続き尽力してまいります。

ーコロナ禍において観光にも大きな影響が出たと思います。そこに対しての考えはどういったものがあるでしょうか?

門川市長:

誤解を恐れずに言うのなら、京都市はいわゆる観光都市ではありません。京都は、ものづくり都市、文化芸術都市、環境先進都市。それから、市民の皆さんの暮らしの美学・生き方の哲学、これが、結果として観光で来られる方にも評価されているのです。円安等による我が国へのインバウンドの増加もありましたが、目指すべきところは、安いからお越しいただくということではなく、京都の価値を認めていただき、お越しいただくことだと思っています。ブレない価値を大切にしていきたい。

これから観光は、更に基幹産業になっていきます。また、観光は平和であってこそです。更には、観光は交流により相互理解が深まり、「平和の維持措置」でもあります。先程、京都市は観光都市ではないと言いましたが、観光を大事にしてきたまちではあります。観光のためにできたのではない。京都に伝わる日本の心や生き方の哲学、美学といったものを大事に受け継いでいくことが、京都ならではの観光の質向上につながり、京都に住む方々の豊かさにも繋がる。ひいては、様々な社会的課題の解決、SDGsの推進、平和の維持にも寄与していくのだと考えています。

< 歴史を学び、未来を考える >

ー最後に、若者へメッセージをお願いします。

門川市長:

京都市は、学生さんのまち・大学のまちと言われるように、人口の1割が学生さんです。そういったことからも、「U35-KYOTO」(注1)など、若者主体の地域づくりを牽引していく取り組みが始まっています。
京都に限らず、若者の皆さんにお伝えしたいのは、積極的にこうしたまちづくりに参画をしてもらいたいということです。まちづくりに参画し、その地域の長い歴史を先人の生き方に学ぶと同時に、遠い先の未来を考えることが、その地域の10年20年先を考えること、そして、皆さんの充実した人生に繋がると確信しています。

注1「U35-KYOTO」
概ね35歳以下の京都で活躍する若手経営者、NPO職員、大学生等で構成される団体。「はばたけ未来へ!京プラン2025(京都市基本計画)」の策定にあわせ、ウィズコロナ社会において社会課題の解決に挑戦する若者を支援するとともに、彼らの挑戦や価値観・考えをウェブマガジン等で発信する事業を行っています。https://u35.kyoto/

(インタビュー:2022-02-10)

プロフィール

■生年月日 昭和25年11月23日
■略歴
昭和44年4月 京都市教育委員会
平成8年4月  京都市教育委員会総務部長
平成11年4月 京都市教育委員会教育次長
平成13年4月 京都市教育委員会教育長
平成20年2月 京都市長

※プロフィールはインタビュー時のものです。
門川市長とのインタビューの様子
2022年2月10日 zoomにて
(左:門川市長 右・下:ドットジェイピースタッフ)

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