ジャパンプロデューサーインタビュー

Vol.220 [首長] 中村 健 愛知県西尾市長 「一人一人が自分の輝ける場所があるまちへ」

〝一人一人が自分の輝ける場所があるまち〟
西尾市長 中村健
JAPAN PRODUCER INTERVIEW vol.220

歴史や文化、自然など魅力的な観光資源があふれるまち、西尾市。
未来に夢や希望の持てるワクワクする西尾市の創生にまい進する
中村健市長にお聞きしました!

< 市長になったきっかけ >

ー中村市長が西尾市長を志したきっかけを教えてください。

中村市長:

もともと、西尾市役所職員として勤めており、その当時から漠然と市長になりたいという思いはありました。しかし、身内に政治家がいるわけでもなく、自分自身の名前が世の中に広く知れ渡っているわけでもないので、現実的な捉え方はしていなかったかもしれません。

西尾市に限らず、行政組織は、「新しいことを考え、挑戦していく」というより、「失敗をしてはいけない」という傾向が強いです。その空気感が苦手で、自分もいずれ課長などの役職に就く日がくると思っていましたが、当時33歳だった私が、あと20年もその時を待つのか…と考えたときに、政治の世界という違ったステージから西尾市のためにもっと自分にやれることがあるのではないかと考え、市議会議員選挙に立候補しました。市議会議員になって、市長になるという志が現実的なものになったと思います。

< ひとりひとりが自分の輝ける場所があるまちに >

ー中村市長の考える30年後の理想の西尾市を教えてください。

中村市長:

切り口はたくさんありますが、一番は「一人一人が輝ける場所があるまち」でありたいと考えています。
例えば、障害を持つ方、外国籍の方がいたとします。障害の有無や国籍、年齢、性別などにかかわらず、「誰もが同じ西尾に住んでいる人」です。一人一人がお互いを尊重し、支え合う、そんなまちであってほしいと思っています。市民一人一人が「自分の居場所が西尾市にある」と思ってもらえることが一番の理想です。

ーでは、理想の西尾市を実現する為の一番の課題を教えてください。

中村市長:

様々な立場に置かれた人たちのことを、どれだけ自分事として捉えられるかどうかだと思います。市役所の都合で何かをやるのではなく、サービスの受け手となる市民の方々がそれをどう感じ、何を求めているかというところをしっかりと受け止め、市民の意見を聞き、想像力を働かせることができるか、というところです。

例えば、現在、西尾市には約1万人の外国人住民が生活していますが、外国人と日本人が一緒に生活していく中で、日本人住民から「こんなトラブルがある」、「こんな悩みがある」ということを聞く機会が多々あります。それを受け、「こんな対策をしました」というのは、日本人にとっては生活しやすい環境になったかもしれませんが、その対策は、外国人住民からはどう見えているのか、どう感じているのかは直接聞かないとわからないこともあります。

そこに職員がどれだけ対応していくことができるかということが、理想の西尾市を実現するための課題だと考えています。「こんなことやっています」というアピールだけではなく、「実際にどのような効果が生まれ、どのような結果が出ているか」を考えることがカギになると思います。

ー先ほど、外国人の話題が出ましたが、西尾市が外国人の方に対して行っている施策を教えてください。

中村市長:

最近では、西尾市に住む外国人の方に向けて、「西尾deこんにちは」というYouTubeチャンネルを開設し動画配信を始めました。これまでは、印刷物やSNS等を活用し情報を発信していましたが、書き言葉では外国人の方々に伝わらないことが多くあることがわかりました。通訳を専門とする職員と相談した結果、外国人住民の意見を聞きながら、「話し言葉でメッセージを出していこう」となり動画配信に切り替えました。現在、各種制度の案内や新型コロナウイルスワクチン接種に関する情報などを配信しています。

ー理想の西尾市を実現する為に行っている政策を教えてください。

中村市長:

多くの市民が効果を実感できる政策だけでなく、マイノリティの方たちにも効果を感じてもらえる政策がこれからの時代はとても大事になってくると思います。やはり、マイノリティの方たちの声は、政治や行政の世界には届きにくく、こちらから意見を聞きに行かなければ、政策に反映されにくいものです。

例えば、西尾市では、愛知県で初となるパートナーシップ制度を採用し2年ほど経過しましたが、申請実績がない状態のため、果たして自分がやっていることは正解なのかと少し不安になりました。最近、いわゆるLGBTQの方々と話す機会があり、「制度があることは知っているが、申請するためには周りにカミングアウトしなければならないため、ハードルが高くなかなか申請できない。しかし、市が制度を導入してくれたことはうれしい」と言ってくれました。

マイノリティの方々の声が届きにくい社会を変え、その方たちがどうしたら居場所があると感じてもらえるかを考えています。境遇は違っても誰もが安心できる場所を作るといったように、大多数にまぎれた少数派を見ないふりをするのではなく、自分の生きがい、やりがいを見出せる社会にしていきたいと思っています。

ー最後に、若者に向けてメッセージをお願いします。

中村市長:

20年、30年先は今の若者が社会の中心になっていきます。「政治は関係ない」、「行政は関係ない」と感じてほしくはありません。現時点でやれることには限りがあるかもしれませんが、これからの社会を担っていく一員だと自覚して、「将来自分たちが社会の中心になった時に何ができるのか」ではなく、「今自分たちに何ができるのか」を考え行動してくれることを期待しています。ぜひ、多くの若者に、政治や行政への興味を持っていただき、そして、民主主義の根幹を成す選挙には必ず行って投票してほしいと思います。

(インタビュー:2022-03-04)

プロフィール

■生年月日 昭和54年4月25日
■略歴
平成4年3月 西尾市立三和小学校 卒業
平成7年3月 西尾市立東部中学校 卒業
平成10年3月 愛知県立岡崎高等学校 卒業
平成16年3月 大阪大学法学部 卒業
平成17年4月 西尾市役所 入所
平成23年4月 愛知県庁へ出向(1年間)
平成25年1月 西尾市役所 退職
平成25年5月 西尾市議会議員選挙 初当選
平成29年6月 西尾市長選挙 初当選

愛知政治大学院 第6期修了   
西尾青年会議所(JC) 元理事

※プロフィールはインタビュー時のものです。
中村市長とのインタビューの様子
2022年3月4日 西尾市役所にて
(中央:中村市長 左右:ドットジェイピースタッフ)

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