ジャパンプロデューサーインタビュー

Vol.227 [首長] 野田 義和 大阪府東大阪市長 「モノづくりのまち、東大阪」

〝モノづくりのまち、東大阪〟
東大阪市長 野田義和
JAPAN PRODUCER INTERVIEW vol.227

東大阪市花園ラグビー場を有する「ラグビーのまち」
世界レベルの製造技術を持つ企業が集まる「モノづくりのまち」で有名な
東大阪市の魅力や今後の取り組みを
野田義和市長にお聞きしました!

< 結果を出すためには自分が動く >

ー野田市長が政治に関わろうと思われたきっかけを教えてください!

野田市長:

私が高校生の頃、〝制服の自由化を考える委員会〟が設立されました。メンバーも30人集まり、リーダーを決める必要性が出てきた時に当時2年生だった私は「誰もならないのなら自分がするわ」とリーダーを務めました。
結果として制服の自由化は成就されましたが、メンバーが30人いても誰も実務をしなかったんですよね(笑)
この経験から、何かを動かす時に自分が動かないと結果は出ないと思うようになりました。

実は私は高校卒業後、2年間の浪人をしています。
それと同時期に国内にて新自由クラブという政党が結成されました。
その新自由クラブの構成員と本当に偶然、街中でばったり出会いがありまして
「大学進学することも生き方だろうし、我々と一緒に活動するのも生き方じゃないか」と
言われ、そこでアルバイト的な仕事をしながら関わりを持つようになりました。

そこからある自由民主党の国会議員と出会い、「うちの事務所で働かんか」とお誘いをいただきまして私設秘書としてより政治に関わるようになりました。

ー野田市長が市長を目指されたきっかけを教えてください。

野田市長:

私は市長に就任する前、市議会議員を5期続けており、当時の市長・市職員に対して自分が思う政策提言を続けてきました。しかし、あくまで議員は提言をする立場であり、主体者として企画立案をすることができない立場にあります。そのため、例えば10の提言を行っても1も2も形として残らないこともありましたし、1年あればできることが3年も4年もの間、議会の度に提言を行うことでようやく実ったこともありました。
このように20年間市議会議員を務めている中で、特に後半から自らが主体者として、まちづくりや市の展望を企画立案する立場になりたいという想いが強くなり、市長選挙に出る機会を模索していました。そして平成19年10月の市長選挙に出馬し、市民の皆様のご理解をもちまして市長に押し上げていただきました。

< 東大阪市のポテンシャル >

ー野田市長が思う、理想の東大阪市はどのようなものでしょうか。

野田市長:

東大阪市に住んでいる人もそうでない人も憧れを持っていただけるまちです。
「東大阪市に住むよりも他の地域に住みたいね」と言われるのではなく、東大阪市は大きなポテンシャルがあることをまず知っていただきたく考えています。

ー憧れという点で、『東大阪市第3次総合計画』にて〝つくる・つながる・ひびきあう ― 感動創造都市 東大阪 ― 〟というキャッチフレーズを拝見したのですが、ここに込められた想いはどういったものでしょうか。

野田市長:

東大阪市はやはり〝モノづくりのまち〟です。
そして市内には東大阪市が発足した昭和42年から存在する大学が4つもあります。
そういった意味でまず学生の力、モノや夢をつくる力が東大阪市にはあります。

また、東大阪市には町工場や中小企業が非常に多く存在します。
いわゆる大企業でも自社内で全てのパーツを生産しているところは比較的少ないです。
東大阪市の町工場や中小企業はそのような名のある大手企業に製品を納めています。
まさに小が大に経済活動や営業活動ができる凄い力が東大阪市にあります。

このような〝つくる力〟が〝繋がり〟、〝響き合う〟ことで、感動が生まれるのではないかという想いをこのキャッチフレーズに込めています。
ありがたいことに最近この東大阪市の魅力を肌感覚で感じられるようになった方も増えてきていると思います。

ーちなみに野田市長の思う、東大阪市の良いポイントを教えてください!

野田市長:

東大阪市は本当になんでもあるまちです。ないものは飛行場と港です(笑)
だからこそ非常に面白いまちだと思います。
交通利便性も高く、待機児童もなく、医療機関も充実しているし、住むことにおいて非常に良いまちです。東大阪以外のどこかに行きたいとなっても、どこへでも行けますしね。
つまり色んな意味でポテンシャルが高いまちです。まずはたくさんの人に東大阪市を知ってもらいたいですね。

< 東大阪市の魅力 >

ー理想の東大阪市を実現するために考えていることを教えてください。

野田市長:

まず東大阪市は交通利便性が非常に高いまちです。道路交通でいうと、この市役所のある荒本・長田から1時間もあればほぼ全ての関西の主要都市・施設に行くことができます。関西のまちでそのような主要都市に行くことのできる地域は東大阪市しかありません。

東大阪市には現在26の鉄道駅があり、さらに約8年後にはモノレールの駅ができ、近鉄の駅も増える予定です。このように交通利便性が高いまちには人が集まり、モノの流通も良くなります。そして人とモノが集まると、情報やお金も集まります。
なんとかこの人・モノ・情報・お金の流れを確立することによって、東大阪のまちをより活性化させていきたいと考えています。

ーその施策を考える上での課題などはありますか?

野田市長:

東大阪市は面積が61㎢しかなく、生駒山を除くと実際に活用ができる土地は50㎢しかありません。そこには約50万人が住み、多くの町工場や中小企業があり、大学があります。つまり密集地です。言い換えると利活用できる土地がほとんどないということです。そのためここまで交通利便性が高く、人もモノも情報も集まる要素があるのにも関わらずその拠点を創ることがなかなかできないことが課題です。

ー課題に対して取り組まれていること、考えていることを教えてください。

野田市長:

例えば土地の高度利用など、時間をかけてでも最もいい形での土地活用ができるように考えています。
実は過去の東大阪市は工場と住宅が交互に存在しているのが当たり前でした。
その経験からこれから人口が増えてくると「工場が横にあったらうるさい」といった苦情が予想され、いわゆる相隣関係が問題になってきます。
そうするとできるだけ工場跡には工場を建てるなど、工場跡に住宅を誘致しないように工夫をしています。このように東大阪のまさに拡張しようがない土地を最大限活かしていく政策を指揮しています。

< 住みたいと思われる情報発信が大事 >

ー「東大阪市を知ってもらう」ために取り組まれていることなどはありますか?

野田市長:

まちの良さを理解していただくためには郷土愛が大事だと思うので、未来市民教育の取組みとして小中一貫教科「夢TRY科」で子ども達にまず自分たちのまちを知ってもらうことを始めています。まだまだ東大阪市のイメージは色で例えるところのパステルカラーで明るい色とは言い切れません。そんな東大阪市のまちの良さを享受していただくためにも、まずは東大阪市がどんなまちかを広く市民に知っていただく必要があると思います。

ー町の良さを知ってもらうことのゴールはどこにありますか。

野田市長:

「ここで住まいを持つ」という段階で東大阪市を選んでいただき、そしてずっと住み続けたいと思っていただくことです。まさにどこに住もうかと思う時の動機付けになるためにも情報発信は続けていきたいですね。

東大阪市には50万人の人が住んでいます。そして中小企業や大学があるため、昼間に滞在している人が非常に多いまちです。まちの中で人が動くということはつまりまちの経済が動いているということです。この人の動きがあるからこそ、東大阪市が成り立っていると言っても過言ではありません。実は歳入、税構造の面から見ても4割近くが非課税世帯です。

つまり、人が住み、動いているということが、東大阪市という自治体が成り立つ基盤になっています。知っていただいた上で住み続けていただき、企業には営業を継続していただかなければまちの根幹が揺るぎかねません。

ー具体的にはどのような情報を発信していきたいと考えていますか。

野田市長:

例えば結婚をしたとき、子どもができたときに産み育てやすいまちかどうかは住む自治体選びの大きな判断基準になると思います。

例えば東大阪市では子ども医療費も18歳まで所得制限なし、500円のワンコインで診療ができるようになっています。さらに東大阪市では昨年待機児童が0になりました。待機児童に関して、保育施設へ利用の申し込みをする際、自治体ごとで入所基準は異なります。東大阪市は日本で一番申し込み基準が緩やかなまちです。基準を上げることなく、待機児童0を達成できたのでそういった意味でも産み育てやすいまちなんです。

しかし、なかなかそのことを多くの人々に知っていただけていません。広報としてあらゆるいいところをしっかりと情報を受け止めてもらえるよう、SNSを含めた様々な手法で情報発信ができるよう試行錯誤しています。

< 設計図を考えること >

ーこれから政策立案コンテストに臨む学生に対してアドバイスをください!

野田市長:

おそらくそれぞれの想いや夢を政策にすると思うのですが、実現可能性ということより、どのようなプロセスで政策を実現していくのかをより考えてみてください。
仮に突拍子もない夢を政策にした場合でも、実現するために何が必要かを具体的に組み立てられると面白いものがたくさん生まれると思います。
そうすると政策立案コンテストにて提案されたものが本市含め自治体の中で採択されることもきっとあります。政治は現実のものなので全く現実を無視したようなものはだめとは言いませんが、実現までの設計図のある学生らしいアイデアを自治体は求めています。

(インタビュー:2022-03-30)

プロフィール

■生年月日 昭和32年2月1日
■略歴
昭和62年10月1日~東大阪市議会議員(5期)
平成19年10月28日 東大阪市長に就任(1期)(現在4期)
平成23年10月28日 再選(2期)
平成27年10月28日 再選(3期)
令和元年10月28日 再選(4期)

※プロフィールはインタビュー時のものです。
野田市長とのインタビューの様子
2022年3月30日 東大阪市役所にて
(左:ドットジェイピースタッフ 右:野田市長 )

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