ジャパンプロデューサーインタビュー

Vol.233 [首長] 上島一彦 大阪府箕面市市長 「子育て・教育日本一のまちを目指して」

〝子育て・教育のまちづくり日本一箕面市〟
箕面市長 上島一彦
JAPAN PRODUCER INTERVIEW vol.233

大阪の北部に位置し閑静な住宅街と緑豊かな環境が広がる箕面市。
大阪大学外国学部もあり、グローバルな地域色に富んだ箕面市の
上島一彦市長と三島学校教育室長に
子育て・教育のまちづくりについてお聞きしました!

< 市議会議員と府議会議員を経ての箕面市長 >

ーまずは、上島市長が箕面市長になろうと思われたきっかけを教えてください。

上島市長:

私は大学を卒業して繊維メーカーの企業で20年間働いていました。繊維メーカーの企業で働きつつ、地元箕面市の青年会議所に入って、明るい豊かなまちづくりの活動を仲間と一緒に18年していました。
その後、42歳の時に箕面市議会議員に当選しまして、市議会議員を7年間務めました。その後、大阪府議会議員を13年務め、合わせて20年間の議員の経験がありました。その経験を活かして市長に立候補し、当選して2年数ヶ月が経ちます。
市長になった理由ですが、やはり箕面市が私の生まれ育ったふるさとだからですね。また、関西広域連合議会というものにも私は所属していまして、箕面市だけでなくもっと大きなところを見ながらも小さく活動を起こす、『Think globaly, Act localy』という気持ちを持って、箕面市で仕事をしようと強く思っています。

< 全国に先駆けて行っている箕面市の英語教育 >

ー上島市長としては子育て・教育のまちづくりに力を入れられている印象ですが、具体的にはどういった箕面市にしていきたいと考えられていますか?

上島市長:

まず、今の箕面市がどんな街なのかと言いますと、箕面市は明治43年から阪急電鉄が通っています。そして、今から1年4ヶ月後には北大阪急行線のターミナル駅として船場阪大前駅と箕面萱野駅ができます。大阪大学の豊中キャンパスと吹田キャンパスの真ん中には箕面キャンパスがありますね。また、地域の4分の3は山なので、緑が豊かなんですね。大阪の都心部からは20〜30分で来れて、利便性も高い。船場には新しく病院もつくられます。
そして、箕面市の高齢化率は平均で25.5%ですが、箕面森町ですと高齢化率は4%と非常に若くて担税力がある人が多く住んでいます。緑豊かで施設なども整っていて利便性も高いのが箕面市なんですね。

また、施設一体型、つまり小中一貫校を大阪府で初めて作ったのも箕面市ですし、元々大阪府では行われていなかった中学校給食にいち早く取り組んだのも箕面市でした。さらに、現在の箕面市では、英語教育に力を入れています。小中学校の先生は市内に800人くらいいるんですが、その内76名はALTの先生です。ALTとは「Assistant Language Teacher」の略でして、ネイティブの先生が英語の授業をサポートしているんです。また、小学1年生から英語の授業もやっていますので、今年は箕面市の中学3年生の英検3級合格率が8割を超えていました。全国平均が4割なのでこれはすごいことですよ。教育に力を入れれば、若い担税力のある人が箕面市に住みたいとなる。ですので、教育を箕面市のまちづくりの基本であり、強みにしたいと思っています。

ー他にも箕面市で取り組まれている教育の取り組みなどはありますか?

上島市長:

そうですね。小学校から中学校の9年間はステップアップ調査というのをしておりまして、これは全国で箕面市が唯一行っているものです。ステップアップ調査では小学校1年生から中学校3年生まで学力・体力・生活習慣の3つをセットで調査しています。国や大阪府の調査だと一定の学年でしか調査しないので、子どもの経年変化が分からないのです。しかし、箕面市のステップアップ調査だと毎年調査をすることで子どもの経年変化が分かるようになります。また、毎年の子どもの学力も調査しているので先生の授業力も分かるようになるんですね。ステップアップ調査によって先生の指導力の改善にも繋がっています。
また、授業中にカメラを入れてAI分析をしています。生徒の発話率や先生の発話率を調べたり、先生がどんな行動をしているのか、子どもがどこを向いているかなどを分析することで、どのような授業にするべきなのかというのが分かってきます。子どもの発話時間が多ければ、生徒が楽しんでいるということなのでモデル的な授業が出来ているなという風に分かったりするんですね。

ー三島箕面市学校教育室長からも教育についての取り組みを教えて頂きたいです。

三島学校教育室長:

先ほど、市長が申し上げたように箕面市では様々な取り組みを国に先駆けて行っていることが多いです。英語も国としてどんどん強化していると思いますが、箕面市では国に先駆けて小学1年生からの授業に力を入れてきました。具体的には、毎日15分のモジュール授業という形で、英語に楽しくふれてもらう仕組みを取り入れています。授業では、学校の教員とALTがタイアップすることで、より楽しい英語教育にしています。
このような取り組みを初めてから9年くらい経つのですが、取り組みを始めた頃の小学1年生達がちょうど今年中学3年生になり、今年初めて英検3級合格率が8割を超えました。このように、小学1年生の頃からの楽しい英語教育の取り組みが成果となって現れているのではないかと思っているところではあります。

また、箕面市では地域の方々とPTAがコラボして学校の行事について保護者と一緒に盛り上げるというのが多いのも特色です。地域の高齢者と一緒に開催するイベントでは、教員だけでは力が足りていないところも、保護者のボランティアも募って協力を得たりしています。このように、保護者の皆さんも一緒に行事に参加するというのが活発に行われていますので、保護者と学校との信頼関係が生まれています。箕面市は地域との絆が強い市だと思いますので、その地域の支えもお借りして学校の教育をより良いものにしていると思います

< 教育力を入れている背景と市長の想い >

ー改めて市長にお聞きしたいのですが、なぜ箕面市では特に教育に力を入れられているのでしょうか?

上島市長:

やはり、若い担税力がある方に来てもらうには、教育と子育ての環境を整えることが大事なんですよ。子どもが生まれても身近に相談することができなかったりと、産前産後のお母さんが抱える苦労や子育てに関する苦労に関してサポートする体制をつくらなければならないと思っています。
また、箕面市で育った子ども達には大きくなってから、スポーツや勉強など何事にも積極的に取り組んでもらいたいと思っています。国際グローバル人材として育ち、壁があってもその壁を打ち破って進んでいく。そういう力を持った人を育てる場に箕面市がなってほしいと思っています。そして、箕面市で育った子ども達が箕面を好きになり、職業人としてこれから立派に歩んでもらいたいという強い気持ちを持っています。

ー国際グローバル人材に育ってほしいと市長が思われていたりと、英語教育に特に力を入れられているようですが、大阪大学外国学部が箕面市にあるのも要因ですか?

上島市長:

そうですね。去年の4月に大阪大学の外国語学部が箕面市の船場にできまして、このキャンパスへの期待はものすごく大きいです。船場のキャンパスには図書館も作りまして、この図書館は市民向けの図書館と大学の図書館が一体となっております。大阪大学の留学生もいますし、国際交流の場所としても船場のキャンパスを盛り上げていき、大阪大学や船場地域と連携してまちづくりをしていきたいと思っています。

また、箕面市内には87カ国2950名の外国人がいるんですよ。ですから、普段から外国の方を見かける機会も多いです。国際交流の友好都市として、メキシコのクエルナバカ市とニュージーランドのハット市とも協定を結んでいます。あとは「MAFGA」と言う箕面市国際交流協会という組織でも、外国人の方と交流・情報交換をしています。このように箕面市では国際色豊かな文化が地域に根付いているかと思いますね。箕面市の地域カラーとも言えますね。ですので、そういった特徴を教育にも取り入れているということです。

ー箕面市はやはりグローバルというのがキーワードになってくるかと思いますが、三島学校教育室長が今後取り組まれたいことなどありますか?

三島学校教育室長:

今後さらに箕面市の英語教育を飛躍していくために、既に取り組んでいたりもしますが、大阪大学と連携した箕面市イングリッシュ・エクスプレッション・コンテストに力を入れていきたいと思います。このコンテストでは小学校5年生から中学校2年生まで、みんなの前で英語を表現してもらいます。今年度からは大阪大学の外国語学部の方の協力も頂いて、大学の大講義室を利用させて頂きました。大学の大講義室でできるというのが子ども達にとっても刺激になり、子ども達からも将来こんなキャンパスで学びたいという声も上がったりと、英語を勉強するモチベーションに繋がるなと思いました。やはり、大阪大学は子ども達からしても憧れの大学ですので、来年度以降も大阪大学とさらに協力していくことで、英語教育を充実させていきたいと思います。

ー箕面市では教育など様々なことに取り組まれているかと思いますが、市長として政策を実行する上で大事にされていることなどありますか?

上島市長:

まずは、誰のために行政はあるのかということです。プライオリティをはっきりしておかないといけません。政策というのは、まず市民のためにあるのだというのを常に考えています。役所のためでも議会のためでもない。市民のためになるものであるかというのが大事なんです。財源というものは限られています。限られたものの中でどうすれば市民のためになるかというのを考えなければなりません。従って、民間でできるものは民間で、行政でしかできないことを行政でやる。例えば、情報を管理したり、行政の執行権に関わるものなどですね。このように、メリハリをつけていかに限られた財源の中で素晴らしいサービスを市民に届けるかというのを常に考えています。

< 上島市長と三島学校教育室長からの言葉 >

ージャパンプロデューサーである上島市長からこれからの日本を担っていく若者にメッセージをください。

上島市長:

自分のことを信じること。これを1番大事にしてほしいと思っています。皆さんには無限の可能性があるわけですから。とにかく自分のことを信じて、思ったことをやってほしいです。皆さんの人生は1度だけですから、悔いのない人生を送ってほしいなと思っています。ぜひ頑張ってください。

ー三島学校教育室長からもメッセージをお願いします。

三島学校教育室長:

このような市長と話したり地域の人と話したりという機会を大事にしてほしいと思います。情報化社会だからこそ、こうして生で自分で聞いた話を基に、自分で人生を切り拓いてほしいと思います。

(インタビュー:2022-12-22)

プロフィール

■生年月日 昭和33年7月14日
■学歴
大阪教育大学附属池田小・中学校 雲雀丘学園高校 早稲田大学卒業
■職歴
メンズ衣料品メーカー専務取締役
■略歴
平成12年8月から 箕面市議会議員2期
平成19年4月から 大阪府議会議員4期
令和2年8月27日 第18代箕面市長に就任

※プロフィールはインタビュー時のものです。
上島市長とのインタビューの様子
2022年12月22日 zoomにて
(真ん中上:上島市長 真ん中下:三島学校教育室長 左上・右上・左下:ドットジェイピースタッフ)

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