ジャパンプロデューサーインタビュー

Vol.070 [国会議員] 松本 洋平 衆議院議員 「「政治の力って大きいんだ」って、自分の肌で実感したことが大きかった」

衆議院議員

民主党 松本 洋平
政党 民主党
選挙区 四国ブロック
初当選年 2005年
当選回数 1回(衆議院1回)
公式サイト

 

議員ご自身が力を入れている政策はありますか。


これがね、僕にとって一番難しい質問なんですよ。当選してから三年経って、具体的に、政策を変えていったりとかは難しいポジションにいることは間違いないんですよ。今僕にできる仕事は、とにかく所属している委員会や国会の場で、自分自身の価値観とか信条に従って、しっかり勉強して、担当の大臣と議論することです。 また、僕自身の関心は、3つに集約されます。
1つ目は、とにかく社会保障を立て直さないといけないと思います。安心して住めない。安心して暮らせない。安心して歳を取れない。今の社会保障制度は、人口構成がピラミッド型のときに、このモデルが設計されている。ところがこれからの日本って、人口構造がひっくり返るんですよ。だから、全世代で負担を分かち合って、弱い人たちを養うというモデルに変えなければいけません。
2つ目は、国際競争力が弱っているということです。例えば、国家が責任を負うべき社会保障を企業に負わせている。結果何が起きたかというと、パートとかアルバイトとか、非正規雇用がものすごく大量に出ているわけです。セーフティネットは、もう一回国家が引き取ることにして、企業は設備投資とか技術開発に、専念してもらえればいいですよね。国家がこの企業とか人と物の行き交いを後押しして、日本の国際競争力を下げないようにしないと、と思いますね。
3つ目は、世界的な構造変化です。今世界を覆っているのは、エネルギーと環境問題で、おそらく数100年ぶりの構造変革を迫られています。そういうときに、日本がどういう手を打てるか。一番に手を打った国が、最も世界からの尊敬と応分の利益を享受するはずなんですよ。僕の関心は、この3つに集約されています。



小川議員は、インターネット選挙解禁に賛成していらっしゃいますが、もし解禁された場合、どのようにインターネットを活用したいとお考えでしょうか。


ホームページと電子メールの2つを使いたいと考えています。選挙の運動に入ったとき、結局できることは限られています。インターネットの最大の特質は、不特定多数向けに発信できることですね。電子メールの最大の特質は、ほとんどコスト無く、多くの方に特定先ですが、瞬時にお伝えできるところですね。だから、この2つは、多数とか不特定とか瞬時という機能を兼ね備えているわけですね。逆に言うと、今許されているツールというのは、それが無いわけですね。インターネット選挙が解禁されたら、私は瞬時に、不特定多数の方に、できるだけコストをかけず、いつどこに行けば小川に会えるのか、興味関心を持っている方は、どう行動してくだされば、接点を見出せるのか。それを伝える媒体になってほしいというのが一番ですね。



インターネット選挙やネットを使った政治献金システムについて好ましくないと考える方もいらっしゃるようですが、どのようにお考えでしょうか。


好ましくないと考える方は、結局、政党とか政治家とか政治をうさんくさいと思っているからなんですよね。その文化は、簡単じゃないですけど、乗り越えていかないといけないんですね。これは、僕が政治を志した動機と繋がっているんですよ。政治とか政治家の悪いイメージを変えていかなきゃ、日本は良くなりようがないと。だからそこに飛び込まないといけない。だからインターネットを通じて、政治に参加してくださる方は増えるだろうし、政治活動の裾野を広げていくという、機能的な面は期待するところはあります。それ以上に、政治とか政治家がうさんくさいままの扱いを受けていることが、国家の衰退と関わっていると思います。そこを変えていかないと、日本は良くならないと思います。



選挙立候補のきっかけを教えてください。


僕の父親は、団塊世代で、僕はこう言われて大きくなったんですよ。「日本の政治家にはロクなやつがいない。でも官僚はしっかりしてるから、日本はよくなった。だからお前は、政治家に左右されず、しっかりこの国のために働ける公務員になるのが、一番いい」と。そう思いましたよね。よし、と思って公務員になって。そこで、何か親父が言ってたことと違うなと。気づくんですよね。元々世の中の役に立ちたいと思って、公務員になり、政治家に左右されちゃいかんと思い込んでいた。でも現実はそうじゃない。じゃあ一体、誰がこの世の中を、トータルで考えて、どこへ持っていこうとしているかを考えたときに、そこを担う人が誰もいないんですよね。とにかく政治家のイメージを、本当の意味での「日本の将来とか、国家の将来を考え抜く人」に変えていかなきゃいけないわけです。それは、うさんくさかった政治を信頼できたり、期待できたりする政治に変えていくことと、結局繋がっているわけです。それがいったん官僚になって、その間違いに気づいて、政治を何とかしなきゃって思った、一連のストーリーですよね。



一日のおおよそのスケジュールを教えてください。


スケジュールは、地元と東京だと違います。地元だと、街頭、集会活動、挨拶回りを行います。それは自分自身のやってる取り組みとかをお知らせする機会になるのと同時に、色んな声をいただく機会になるんです。朝、街頭に立ったら、その後事務所戻って、挨拶回りに出たり、行事に顔を出したり、集会、国政報告会やったり、集会にお邪魔したり、ということの繰り返しですね。
東京にいると、今度は国会活動が主になります。質疑の準備をしたり、そのための資料を集めたり、読み込んだり、またお客さんをお迎えしたり、取材の応対をさせていただいたり、会合に参加したり、勉強会に行ったり、というのが主になります。



睡眠時間はどれくらいですか。


僕は、意外と寝るほうです。寝るのが好きで、寝ないとダメです。今、当選から3年経ちましたが、最初のころは、あれもこれも顔を出したりしていました。最近は、そろそろ取捨選択するようになりましたね。あんまり夜遅くまでっていうのは控えるようになりました。地元だったら、家族と時間過ごしたりだとか、家でリラックスした時間を過ごしたりしています。逆にそれも大事にしないと、人間としてのバランスが崩れるんですよ。「人間社会のバランスを考えようとしている仕事」でありながら、人間としてのバランスが崩れると、いい仕事には繋がらないですよね。バランスのとり方っていうのは、気をつけないといけないなと最近思うんですよ。



休日はどのように過ごされますか。


休みっていうのは、あって無い世界で、やろうと思えば、どこまでもやれるわけですよね、仕事って。決まった休みも無いわけでしょ。ようやく、最近ですよね。月に1日とか、出来れば月に2回とかオフを取ったりします。また子供が夏休み冬休みのときは、せめて1泊でも2泊でも、温泉にでも出かけるようにしています。出来るだけそういう時間を作るようにしていますね。やっぱり自分なりの人間としてのバランスの取り方ですね。



学生へ向けてメッセージをお願いします。


3つあります。孔子が「15にして学に志す」、「30にして立つ」、「40にして惑わず」と言いました。そうすると、学生時代って、ちょうど学び始めて、30にして立つまでの中間の前半なんですよね。だから、先生や友達、学んでる内容とか遊んでる内容、恋愛とか趣味とか家族とか、そういうものに思いっきり、「胸を借りてほしい」という気持ちが一番ですね。それは、これから皆さんが社会の中核の当事者として、将来を作っていく人に回るからです。とにかくあらゆることに胸を借りる気持ちで、思い切りぶち当たってほしいなあという気持ちですね。胸を借りてくと、何一つ無駄になることはないですね。
2番目にそれと関連して、一日も早く、社会の当事者としての感覚、覚悟、意識というかそういうものに行き当たってほしいと願います。そして、30にして立つまでの社会に胸を借りる期間を存分に味わってほしいなと思います。
最後に、今の20代は、結構「自分探し」って言葉が流行るくらい、迷走しています。はっきりした目標が見出せないとか。それは裏返して言うと、物凄く豊かになった社会であればこそ、なんですよね。目下のところ、食べるものに困ってたりすると、それどころじゃないわけですよ。途上国の子供たちが目がキラキラしてるとよく言いますけど、それはその日にまず、食べるものを確保しなきゃいけない。そのために今日一日何ができるだろうということを考えて行動することほど、生存本能に根ざした、シンプルな行動って無いですよね。そこが得がたくなっているのが、一番の難しさですね。例えば今、自分探しで迷っているとか、何のために生まれてきたんだろうとか、どう生きればいいんだろうとか、ということが、あるとしたら、それはすぐに答えが出ることでは、おそらく無いでしょう。すぐに芽が出ることかもわからないけども、そのことが実は可能性を秘めたことだということを伝えたいですね。



(インタビュー:2008-08-05)


高松市立円座小学校、香東中学校、香川県立高松高校、東京大学法学部卒業。
平成6年 自治省(現総務省)入省
沖縄県庁、金融庁(課長補佐)、自治体国際化協会ロンドン事務所、愛知県春日井市役所(企画調整部長)などを経て、平成15年退職。
平成15年 第43回衆議院選挙に立候補(惜敗)
平成17年 第44回衆議院選挙において初当選
現在、民主党香川県連代表、衆議院議院運営委員会と総務委員会の委員を務める。
※プロフィールはインタビュー時のものです。

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