ジャパンプロデューサーインタビュー

Vol.076 [首長] 鈴木 直道 夕張市長 「何か一つやっていれば 社会に出てそれが自分の支えになる」

市長

夕張市長 鈴木 直道
所属 夕張市長
選挙区 北海道夕張市
公式サイト

 

鈴木市長にとってのジャパンプロデューサーとはどのような人ですか?


今、日本において日本国民が日本を創っているという意識が希薄になっていると思います。 例えば、組織人も大きな企業の中でひとつの歯車となり働き、家庭がある人は家族を守るという役割の繰り返しになっています。しかし、その背景には当然ですが、住んでいる自治体、市町村や都道府県の存在があり、誰もが日本で生活している。自分が会社や家庭という中でのライフサイクルを意識するだけではなく、自治体や日本という存在に対して、想いを持ちながら生活することが広く伝わっていくことが必要です。 全国の人たちがそのような意識をもって力を出し合うことがジャパンプロデュースあり、それに携わる全ての人たちがジャパンプロデューサーであると私は考えます。日本国民全員がそうなれば日本はさらに強い国になると思います。



鈴木市長が考える若年投票率の向上のための方策を教えてください。


私自身もそうでしたが、多くの高校生や大学生は正直あまり政治に対して興味はないでしょう。それは何故かと考えると、政治家に若い世代が少ないことが理由の一つとしてあります。例えば、スポーツ選手であれば20代、30代で世界で活躍しますよね。
年齢が近い、「自分と同じ世代なのに世界で活躍していて凄い」と思う。自然に憧れや共感を抱いたりする。
政治の世界にも若い世代がさらに増えれば、それを見て若者が政治に興味を持ち、それをきっかけに色々なことを調べて活動の背景を知るなど、政治に対する関心が高まると思います。
この時点では個人的な興味ですが、そのことが全体に広がり、政治参画へのきっかけになれば必然的に投票率も上がると思います。



鈴木市長は全国最年少市長であり、「最年少市長の街」ということでクローズアップされるだけでもメリットが、おありになると思いますが、他にも最年少市長のメリットと考えているものがあれば教えてください。また、若すぎるだとか、人生の経験が…などと言う人も中にはいらっしゃると思いますが、鈴木市長が考える、最年少市長であるというデメリットも合わせて教えてください。


メリットの一つとしては、形はどうであれ長い期間政治に参加することができるということです。首長というのは基本、体力勝負です(笑)。
人間で最も血気盛んなのは20代、30代。それ以降は体力と引き換えに経験が身につくでしょう。
また、若いということで行動力も期待される。特に夕張市は財政破綻し、今後16年間で財政赤字を解消しなければなりません。
そのような閉塞感が漂う期間が続く中で、若さと行動力をもって突き進んでいくことができるということはメリットではないでしょうか。
一方で経験不足は、例えば60代の首長に追いつくことはできません。
しかし、経験不足だから良い判断ができないとは限りません。
経験が多いと決断の際の選択肢が多くなり、選択する辛さが増えるという側面もあります。
経験が増えるということは、それだけ柵も増えていくんですよね。
大切なのは、経験が少ないという自身のデメリットを自覚し行動すること。今の時代は、過去の経験が通用しない場面も多い。例えば夕張市もそうです。財政破綻して322億円もの財政赤字を抱えています。過去の常識、前例は通用しません。
そのような、全く新しいことに挑んでいく時代、柵の無さやスピード感を求めて市民の皆さんが私の可能性にかけてくれたんだと思います。



鈴木市長はボクシングをやっていらっしゃったそうですが、市長にとってはその経験が支えになっていますか?


そうですね。私は高校生の時はアルバイトばっかりやっていて、ほとんど部活なんてやっていませんでした。
高校を卒業後、東京都庁に就職して自分でお金を稼いでさらに勉強したいと思い大学に入学しました。
しかし、勉強以外にボクシングへの憧れもあって入部しました。
サークルと違い体育会なので真剣そのもの。オリンピック強化施設にも指定されるほど強い部活で、一緒に練習する人たちも全日本の代表になるような選手。こんな恵まれた環境無いなと思って入部しましたが、やはり仕事と勉強、試合が近くなるとさらに減量も重なりとても大変でした。
お客様に直接対応する窓口業務をしていた時、顔にアザをつくってしまって、上司に「お前ちょっと帰れ」とか言われたりしてね(笑)。
でもこれ以上に無いって言うくらい充実していました。
よく「市長って大変ですよね」って言われるんです。土日もないし、夜も遅い。
でも、大学生の時は17時過ぎまで仕事して18時半から講義とって、21時半から23時頃まで練習していましたからね。土日も練習があって、ときには試験勉強と試合前の減量が重なったりする。今でもその時に比べたら肉体的にはまだ楽かなと(笑)。
やっぱり何か一つでもそういう体験をしておくと、長い人生のよりどころになると私は思います。
何かすごく辛いことがあった時に、「あの時に比べたら楽だ」とか。
楽しいこともあれば、「あの時楽しかったな。よし頑張ろう」とか。
「あの喜びをもう一度目指そう」とかね。
何かそういうことを是非、見つけてやればすごくいい経験になります。
社会に出てからそういうのってなかなか見つからないと思いますよ。



市長のお仕事は激務だと思いますが、日々の息抜きはどのように行っていますか?


息抜きする時間がないよね(笑)。
いやでも北海道は自然が豊かなので、ドライブをしてリフレッシュしていますね。
職業上、公務では車の運転しなくなるんですよね。だから休日は自分で車の運転をして息抜きをしています。あと温泉が好きなので、温泉に自分で運転して行きますね。
私は結婚したばかりなんですが、やっぱり一緒に過ごせる時間ってほとんどない。
土日はイベントが入ったりするので1日フルの休みはほとんどないんですが、3時間ほど休みが取れると妻と二人で温泉に行ったりしています。
夕張市は映画祭のあるまちですから、映画も見たいのですが、「月に1本は見たい」と言うだけで、全く見れていませんね・・・。



約4年間、夕張市と密接に関わってきたと思いますが、鈴木市長お気に入りの夕張スポットなどあれば教えていただけませんか?


「滝之上公園」という公園がお気に入りスポットですね。
紅葉が凄くきれいなところで、観光シーズンなったら大型バスのツアーもあるんですよ。そこでは「ゆうばり紅葉まつり」というお祭りもあって、以前、市内の若い人たちと一緒に出店したりしていました。お祭りの数日間、山で危険な思いをしてとってきた山ぶどうを皆で売りました。ですが、全く売れなかった(笑)。
諦めかけたその時に山ぶどうでゼリーを製造している市内の方がいらっしゃって「あんたたちかわいそうだね。私がここにあるだけ買ってやるよ」と言ってくれた。これは相当儲かると思いましたね(笑)。
その方に全部をいくらでご入り用ですかと聞いたところ、500円で、と言われました(笑)。
そんなエピソードもある滝之上公園が私のお気に入りスポットの一つです。



学生へのメッセージをお願いします。


私の場合は、高校を18歳で卒業して直ぐに東京都庁に入ったんですよ。
それから19歳の時に法政大学の夜学へ通いはじめました。大学のキャンパスライフというものに憧れて入学したのですが、仕事が終わった後の大学生活だったので、昼間の学生とは全く違ったキャンパスライフでしたね。
学生の時って、皆さんも大学生なので多分肌身感じていると思いますが、楽をしようと思えばとことん楽できるじゃないですか。単位も登録して、「代返頼む」とかね。殆ど出席しなくても、単位もらえる講義は人気があったり。上手く立ち回れば、そんなに苦労を知らずに卒業も出来る。でも、凄く頑張ればとことんまで道が開けているところです大学は。
それこそ時間もたっぷりある。実家生は別として、親から離れて自分の時間っていうものが人生ではじめてできる時。研究に没頭したり、遊ぶのもとても大事だと思いますが、何か一つでも自分が楽しめて、打ち込めるもの。
運動でも趣味でも学問から離れても何でもいいんですよ。何か一つやっていれば、社会に出てそれが自分の支えになると思うんですね。
だから是非、学生のうちにそういった宝を見つけていただきたいなと思います。



(インタビュー:2011-07-14)


平成11年4月 東京都入庁
平成16年 法政大学法学部法律学科を卒業(都庁に勤めながら4年間で卒業)
平成20年1月 夕張市へ派遣(市民課市民保険グループ)
平成22年4月 東京都知事本局総務部より内閣府地域主権戦略室へ出向
平成22年11月末日 夕張市長選出馬の決意を固め東京都庁を退職
平成23年4月 夕張市長に就任
※プロフィールはインタビュー時のものです。

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