ジャパンプロデューサーインタビュー

Vol.081 [首長] 熊谷 俊人 千葉市長 「後悔しない人生・何かに貢献する人生を。」

市長

千葉市長 熊谷 俊人
所属 千葉市長
選挙区 千葉県千葉市
公式サイト

 

政治家を志したきっかけを教えてください。


阪神大震災が起きた当時、私は高校生で神戸市に住んでいました。そこで被災した際に、路地が狭くて消防車が通れないといった問題を体験し、街の区画整理といった都市計画も自分自身の生活に大きく関わる問題であると、その重要さを感じました。
また、そういった問題を扱っているのは国政ではなく、地方行政であると実感し、そこから地方自治体の政治に興味をもちました。社会人になって会社に勤めながらも、住んでいる街の議会見学に行き、地方行政は、まだまだ改革できるところがあると感じました。
周りの人達は国会議員になりたいという人も多かったですが、私自身はずっと市長になりたいと思っていました。



熊谷市長も会社勤めをされた後に「市長」になるという選択をされたと思うのですが、人生で進路を選択する際に大事にしているものを教えてください。


基本的には、より大きなフィールドを経験するということを大事にしています。
最初に入った会社も大きな通信会社でしたが、そのような大きな会社・組織に所属してそこから見える景色というのはやはり違います。
小から大は行けませんが、大から小は行けるので、大きな会社・組織に行くチャンスがあるならば、まずは大きな会社・組織に行くチャレンジを選択したほうが良いと思います。これは大企業が良いと言っているわけではありませんが、それによって、またその先のフィールドが切り開けるということも多いのではないかと考えています。



具体的に千葉市長になられて見えた景色というのはどのようなものでしょうか。


私は現在の職に就く前に市議会議員を経験していますが、市議会議員は多数いますので、その中の一人として活動していました。
しかし、市長になってからは1/1です。つまり、トップは常に批判されますし、最後は責任を取らなければいけない立場なのです。そして、トップの立場やその判断基準をわかる人は、世の中にその人以外にいないのです。
だからこそ、しっかりと考え行動しなければならない。トップを批判するのは簡単ですが、逆に自分がトップになったときを考えて意見を言える人は少ない。私も社会人の時はそうでした。しかし、市長になり、そういった責任をもって動く中で、同じように組織のトップとして責任を取っている人の心中を察することができるようになりました。
そして、街全体について考えることができるチャンスがもらえたことは大変いい経験だと思います。



市長のやりがいを教えてください。


もの凄くやりがいがありますよ。
私はおせっかいな人間なので、「他人のため」「未来のため」というのがすごく楽しいです。
市長というのは選挙に勝たなければいけないのですが、有権者に嫌われることを恐れて問題を先送りするのではなく、自分が犠牲になっても千葉市の未来にとって何が本当に大事なのかを考えて決断をしていくのが私の仕事です。
未来の人たちに対して責任を取り、歴史を振り返ったときに「あの時代の決断がよかった」と思われることをするのが人生のテーマで、今、その目的に向かってやっている実感があります。



現在の日本では「批判ではなく、提案を」できる人材が少ないと思うのですが、どうやったらその状況は変わっていくと思いますか?


大事なのは、市長などのトップの意思決定の過程を市民に伝えること。「情報公開」だと思います。
たとえば、国のエネルギーの問題などでは、国民が政府以上に原発に関して判断できる情報を持っているわけではないので、きちんと国民に対して、政府がどのような情報を元にどう考えたか、悩んだことも含めて、意思決定過程をもっと伝えることが必要だと思います。
市の職員に大切にするように伝えていることは、私たちが施策を考えるに至った、普通では出さない情報をしっかりと公開し、市民に伝えるということです。

私自身は、「市長がなにを考えているのか」「なぜこの決定をしたのか」ということを市民に伝えるために、ブログやtwitter等での情報公開を、とても重要視しています。

例えば、twitterなどでは市民に税金の問題を考えてもらうきっかけをつくるためにあえて「炎上」するようなつぶやきをしたこともあります。時間を使ってブログを更新し続けるのは、税金の配分は簡単なことではない、と市長である私からみなさんにブログを通してお伝えすべきだと思っているからです。



最後に若者にむけてメッセージをいただけますか。


自分の人生、いつ死ぬかわからないですよね。死んだときに後悔しない人生を歩んでほしいと思います。
それから、何かに貢献する人生を歩んで欲しいと思っています。
新たな価値を生むこと。
例えば、子供を産むことも素晴らしい貢献だし、iPhoneのようなこれまでになかった発想で新たな製品を開発することも、地域でボランティアをすることも素晴らしい貢献だと思います。
人は社会に貢献するために生きていると思っていますし、社会に貢献している、と思える瞬間が最高に楽しいと思っています。
汗をかくか、頭を使うか、貢献はどんな貢献でも、何に対してでも良いと思います。
社会に貢献しながら、生き甲斐や働き甲斐を感じていってください。



(インタビュー:2012-08-17)


平成13年3月 早稲田大学政治経済学部 卒業
平成13年4月 NTTコミュニケーションズ株式会社入社
平成18年       NPO法人政策学校「一新塾」第18期生
平成19年5月 千葉市議会議員
平成21年6月 千葉市長就任(任期:平成21年6月14日~平成25年6月13日)
※プロフィールはインタビュー時のものです。

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