ジャパンプロデューサーインタビュー

Vol.091 [首長] 高野 律雄 府中市長 「『積極的に関わっていけばきっと何かが見えてきます。世の中に関心を持ち、自分の夢を作って進んでいってほしい』」

市長

府中市長 高野 律雄
所属 府中市長
選挙区 東京都府中市

 

市長になったきっかけはなんでしょうか。


周りの人に市議会議員になることを勧められて、12年間やっていました。市議会議員をしながら市長の仕事を見ているうち、市の職員や市民の方々と一緒に、直接的にまちをつくれることにやりがいを感じ、市長になることを決めました。



市長としてやりがいがあることはなんですか?


まだ市長になって8ヶ月少しばかりなので、わからないこともたくさんありますが、市民の方と直接会ってお話して、まちのことを褒めてもらえること、悩みを相談されて解決した時に喜んでもらえることです。まちの中を歩いていて話しかけてもらったり、タウンミーティングを開いて直接市民の方の意見を聞き触れ合ったりすることが好きです。
このタウンミーティングはコミュニティ協議会の役員の方を中心に開いているものですが、もっといろんな方ともお話してみたいと考えています。特に大学生くらいの、これからを担っていく若い人たちと意見交換をする機会を設けることができたら、と思っています。



学生時代はどんなことをされていましたか?


学生時代はそんなに強いチームではありませんでしたが、高校から始めていたラグビーを4年間やっていて、主将もやっていました。
今でもラグビーを続けていて、いろんなポジションをしています。



趣味で日本舞踊をしているということですが、自分で踊っているのですか?


政治活動をしていると、いろんな団体と付き合いがあります。その中で府中市の踊りの団体に声をかけてもらい、役職をいただけることになりました。そのうちに、踊りができないのに、議員というだけで役職をいただくのは自分のポリシーには合わないと思い、年に1回か2回踊るようになりました。今年の10月にも2回ほど踊りました。日本舞踊をやっていると驚かれることもありますが、同じ団体の中には年配の女性が多いので可愛がられて指導をしてもらっています。



自分の活動の幅が広がったなと思う時はありますか?


若いころは、身の回りに福祉的なケアが必要な人がいなかったので、福祉に関する知識もまだまだだったのですが、議員や市長の仕事を通じて、視野が広がっていきました。そして専門性が高まったかは別ですが、いろんな分野の方とお話する機会が増えたので知識と人脈が広がりました。



若年層の投票率低下の対策はどうされていますか?


国政選挙はマスコミが取り上げますが、一番身近であるはずの市議会議員選挙・市長選挙は一番遠い存在になっていると言えます。私が1月に市長選に出馬した時の投票率も、30.05%と府中市の選挙史上一番低かったのを今でも覚えています。
この問題にはすぐに答えが出ませんが、ホームページという今では当たり前のツールだけではなく、若者が普段から馴染んで使っているものを積極的に使っていくことがひとつの手段だと思います。
しかし、今の若者には投票するということが権利ではなく、投票してもしなくても変わらないという人が多いのではないだろうかと考えています。それに候補者の差が見えないという選挙のやり方にも問題があると思います。
高齢者の方の投票率が高いのは、差が分からないけれども、どういうプロセスでこの投票という行動ができるかを理解しているからで、若者はそこまで貴重であるという意識がないのかもしれません。非常に難しいことではありますが、具体的な政策を打ち出さないと若い人に響かないのでは、と思い、斬新に理想を掲げて投票に臨んでもらえるような政策を心がけなければならないかもしれませんね。
そして今までは国が方針を示して地方自治体が請け負う形でどこも発展してきましたが、これからはそれぞれの自治体によって政策を変える地域主権にならなければいけません。地域によって課題が違うのでそこに住んでいる人が自分たちで政策を考え、まちをつくっていく必要があると言えるのです。
学生のうちは家の人に税金を払ってもらっていると思いますが、これから社会に出ると、今度は自分で税金を払うことになります。その税金がどう使われているのかを身近なこととして捉えて欲しいと思います。このように市政を身近に考えてもらい、自然と選挙に行きたいと思えるような環境づくりが必要であると思います。
そして東日本大震災という国難に見舞われて初めての国政選挙で、どういう投票行動に出るのか注目したいです。



府中市の見所を教えてください。


まず、府中市のシンボルでもあるけやき並木です。駅からずっと広がっているもので、“けやき並木”として天然記念物になっているのは府中市だけです。まちの整備をするにあたってもけやきの木の保護を優先的に考えています。
次に公共施設が充実しています。図書館は5年経たないうちに500万人以上の方に来館していただきました。この図書館は京王線府中駅から歩いて5分ととてもアクセスが良く、夜10時までやっています。その他美術館、博物館もあり、専門的に勉強されている人、学芸関係の道に進もうとしている人には重要な資料が揃っています。
そして最近では発掘調査でいろんなことがわかってきています。例えば、徳川家康が奥州征伐から帰ってきた豊臣秀吉を迎えるために造ったといわれる御殿が発掘されたり、国府や日本で最大の上円下方墳という豪族の古墳も見つかったりしています。これらの資料はふるさと府中歴史館にあります。
市役所近くの神社も見所です。この神社は拝殿が北向きであり、これは非常に稀なことです。奈良時代に東北の豪族が攻めて来るのを恐れて建てたものだと言われています。
また、週刊東洋経済の政令市を除く全国のまちランキングで、発展力で18位になりました。これからまだまだ発展することが期待されています。子育てのし易さでも東京都内でもトップクラスに上がっています。そして目標値にはまだ達していませんが、一人あたりの公園面積も広いです。



学生のうちにやっておいたほうがいいと思うことはありますか?


勉強の一言に限ります。種類にはこだわる必要はありませんが、私としては社会人になってなかなか勉強する機会がないのが英語なので、これを勉強してみるのもいいと思います。英語の基礎ができていないとそういった部署に付けないし、それ以上のステップアップは望めません。特に今は国際社会なので、英語がベースとなってコミュニケーションを取る機会が増え、そこから視野が広がり、世界が広がると思います。これは自分の反省でもあります。



若者へのメッセージをお願いします。


世の中に関心を持って欲しいです。自分が市長という立場で政治に携わっているので、平均して20代、そして30代の若い世代の投票率が低いのが気になっています。これからの社会を担う世代が投票に行かないので、社会がどうなってしまうのかが不安になってしまいます。もっと社会に関心を持ってください。
そして社会や政治に関心を持ってもらうために、選挙に出る人や、知らせる側の人たちもさらに努力をしないといけないと思っています。
若い皆さんには受け身ではなく、自分で夢を作って、それに向かって無駄な道を通っても、回り道をしてもへこたれないで進んでほしいと思っています。



(インタビュー:2012-10-24)


昭和59年 3月 立教大学経済学部卒
昭和59年 4月 株式会社レナウン勤務
平成03年 1月 府中わかば幼稚園勤務
平成11年 4月 府中市議会議員
平成24年 2月 府中市長就任
※プロフィールはインタビュー時のものです。

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