ジャパンプロデューサーインタビュー

Vol.093 [首長] 島田 穣一 小美玉市長 「『一度しかない若い時代にできることを自分なりに見つけて頑張ってください』」

市長

小美玉市長 島田 穣一
所属 小美玉市長
選挙区 茨城県小美玉市

 

政治に関わろうと思ったきっかけについて教えてください。


もともと私は農家の息子で、大学でも農業の勉強をし、家業を継ぎました。その一方で、若者が地域活性化のためにできることを考える青年団活動もしており、組織の長を務めながら多くの人と語り、遊び、学び、考え、まちづくりのために行動していました。
しかし、選ばれなければ入れない政治的組織に自ら入っていくこともできず、私たちは発言の機会がなく、意見も町政になかなか反映されませんでした。そこで私はそのような状態を打破し、町民の思いを反映させるため、発言の機会を得るため、活動するためにも政治に参加しなければならないと思い、周りからの応援も受け40代で美野里町の町会議員になりました。
そして、美野里町の町長を務めていた2006年に美野里町、玉里村、小川町が合併し、小美玉市の市長を今まで務めています。



やりがいを感じるのはどんな時ですか?


一番やりがいを感じるのは、まちづくりにかかわって、計画に基づいた予算確保、政策実施をし、教育、文化、福祉、産業などの結果をきちんと出し、その結果に市民が感動している姿を見た時です。
市民に喜んでもらうためにも、住民参加は基本だと思っています。計画の時点から市民と一緒であり、計画に意見を反映していきます。市のイベントを盛り上げる姿、一生懸命な姿、そして参加した人との一体感、感動している姿を見るのが好きです。若い時に声が届かない悔しさを体験しているからこそ、そういうことがないように市民が本当に必要なものをどんどん吸収し、市民と一緒に行動し、事業や行事が完成したときの喜びを分かち合うことにとてもやりがいを感じます。



市のビジョンについて教えてください。


地方分権一括法が制定され、地方の時代と言われていますが、何を重視してまちづくりをしていくのか、なかなか難しいところです。
私は、まちづくりや市政の理念を対話と協調としています。住民参加がひらかれたまちづくりが基本だと思っているからです。なので、将来のまちづくりについても住民と一緒に計画を立て実施し結果を出した時に、小美玉市に住んでよかった、長く住み続けたいと思ってもらえるようなまちづくりにしていきたいと思っています。そして、地域外の人からも小美玉市に住んでみたいと思ってもらえるようなまちを作っていきます。
具体的には、小美玉市の持つ特色、良さを十二分に活かしたまちづくりが非常に大事です。この市の特色は何かと言うと、農村地帯であることです。自然と農業、人がうまく共生する社会を目指し、自然と人とのつながりを大切にしていきたいと思っています。
そしてなにより、霞ケ浦の自然の美しさは財産です。そういった財産に手を加えて活かし、人に喜んでもらうことが大事であり、人が生き生きと生活できるまちを目指します。そのためにも、自分ばかりで成長するのではなく、やはり市民とともに成長する市政をしていきたいですね。



市の課題はありますか?


大きく二つあります。
一つ目は、小美玉市全体の青年活動組織が今は存在しないということです。私が若いころ、合併前の美野里町には産業、農業、工業など全てをひとつにまとめた青年団がありました。今でもそれぞれの組織の中で活動を行っている青年部はありますが、その組織の範囲内だけでなく、全体的に統率を取って議論、活動する組織がありません。若者の声を聴くため、そして私たち政治家の考えを理解してもらうために、私自身、若者の集まりには積極的に参加していますが、今の状況を変えることがひとつめの課題だと言えます。

二つ目は、若い議員がいないことです。個人で出てきた若い議員は今一人いるけれど、組織の中から推薦されて出てきた若い議員はいません。これからの小美玉市を支えていく若い人が本当に住みやすい環境にするために、若いときに政治に参加できるような場づくりをしていく必要があると感じています。市にとって一番大事で、必要である若い人の思い、意見、エネルギーを活かしたいのです。大きな組織で強いリーダーを出すためにも、リーダー養成が今後の課題と言えます。



市長の学生時代のエピソードを教えてください。


すごいエピソードはありません。ただ、友人は本当にたくさんいました。学校が終わってもまっすぐ家に帰ったことはなく、友人と街を散策しながら、将来の夢について色々と語り合いました。今でもその友人とは交流があり、さまざまな活動も行っています。勉強に熱中するとか、将来にむかって頑張ろうとかではなく、その日その日をよい友人と一緒に楽しんでいましたね。
農業後継者だったので、大学の農業別科に進学しましたが、そこでもたくさんの友人に恵まれました。その友人たちとは卒業してからもずっと、お祭りを見る会を毎年やっているくらい仲がいいのですよ。そんな遊び友達ができたことが、学校の良さだったと思っています。



若者に向けてメッセージをお願いします。


若い時代にできること、若い時代にやらなければならないことを自分なりに見つけ、頑張ってほしいと思います。若いときだからこそできることがあって、許されることがたくさんあります。責任を持って行動し、自分の中で結果を出していってください。そして、それが将来大きな実を結びます。
それに加えて、人のため、社会のためにいかに若いときに行動して結果を出せるのか、そういう考えをもって日々精進することも大事です。人は、一人だけでは成長できません。相手に力を借りて相手に信頼を受けて成長するものです。そういうことは若い時に身につけないと、あとで後悔しても遅いのです。二度とない若い時を充実したものにするためにも、将来後悔しないためにも、できるときにできることを考え、行動し、大きな力を出して成長していくことが大事だと思います。



(インタビュー:2012-11-21)


茨城県出身
昭和19年8月1日生まれ 68歳

昭和39年 千葉大学園芸学部農業別科卒
昭和59年 美野里町の農業委員を務める。
昭和60年 美野里町議会議員就任
平成 3年 美野里町町会議員辞職
平成 3年 美野里町長就任
平成18年 3町村合併後、小美玉市長就任。現在2期目
※プロフィールはインタビュー時のものです。


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