ジャパンプロデューサーインタビュー

Vol.103 [首長] 清水 聖義 太田市長 「偽物にはならず、本物になりなさい。そのためには、見世物にはならないでください」

市長

太田市長 清水 聖義
所属 太田市長
選挙区 群馬県太田市

 

市長になったきっかけはなんですか?


私は市長になる前は市議会議員、県議会議員を務めていました。議員になろうと思ったきっかけは、私が長男なので地元に戻ってきた時に、先輩が国会議員をやっていて、選挙をたまに手伝う中で、自分のほうが、相対的にレベルが高い、役に立てる、といった自惚れからスタートしたものでした。
そして市長になったのは衆議院議員選挙に落ちたことと、市庁舎の立て直し問題が同時に起こったことでした。
当時庁舎を21階に立て直すという事が行われようとしていましたが、21階もいらないだろうと思い、その案が議会を通って工事が始まっているところに待ったをかけました。これは前代未聞の公約でした。無事当選し、工事中にもかかわらず21階建ての予定を11階にまで減らしました。工事中のものを止めるのは議会にも職員にも現場にも、そして自分にも大変なことでしたが、自分の掲げた見直しに共感して投票してくれた方々に面目がつかないと思い強行しました。今思うと本当に止めることができてよかったと思っています。
市長は漠然と批判だけではいけないし、行政改革は市民目線からやらなければなりません。市民から見て庁舎が21階も必要かというとそうではないと思います。21階の建物なんてみっともないと思います。
それに、基本的には議員よりも首長のほうが面白いと思うところがあるということも理由のひとつでしょうか。



市長のやりがいとはなんですか?


まず自分の意志が通ることです。考えていない人は官僚の言いなりになりますが、ちゃんと考えていれば職員も納得してくれます。よく思い付きと言われることもあります。しかし、自分の中ではちゃんと考えていて、飛び出すときが突然なだけなのです。私はいつも市民サイドから見ていて、市民が行政に近付くのではなく、行政が市民に近付くべきだと思い行動しています。
それに、思い付かないよりは思い付いた方がいいでしょう。この思い付きも努力しなければ思い付きません。思い込めば必ず思い付くのです。苦情ばかりの文句を言っていても前に進まないでしょう。突然の思い付きのように思えても、聞かれればちゃんと説得力を持って納得させる事ができます。どんな幸運が頭の上を通っていてもそれと結びつけるアイディアが無いとその幸運を逃してしまいます。しかし、いつも考えているとその幸運を手に入れることができます。
あるとき、大きな住宅団地建設時に太陽光の実証実験をやろうという話が出ました。それを積極的に取り入れようと思い、お陰で777戸中553戸もの家に太陽光発電機を取り付けることができました。これは世界で一番大きな太陽光発電の団地です。そしてこの住宅街は大学生にデザインしてもらってコンペもしました。結果彼らの学習にもなり、モチベーションにもなったでしょう。これはとても注目された事業でした。



市長のモットーは何ですか?


私は議会中原稿を読みません。このような政治家は少ないと思いますが、議員になった当時から読みません。自分の勉強したことで自分の言葉で伝える、これがモットーです。
もちろん他の方からアドバイスはもらうことはあります。しかし書かれた原稿は思いが入っていないのです。読んだとしてもメモ書き程度です。
皆が皆原稿を読まない、自分の思いを自分の言葉で伝えるというようにすれば、臨場感のあるリアルな議会になって楽しいと思います。私は議会も楽しくなければ、という思いがあります。ただ原稿を読むだけの議会というのは、アドリブも無いので学芸会よりもひどいものだと思います。少し脱線するような時もありますが、生の会話で聞いている傍聴に来てくれた方も楽しめると思いますよ。



襲撃事件がありましたが、どう思いましたか?


あの時は車が2台塀に突っ込んで来たのです。そのすぐ近くに車を停めてあったのに、車を破壊することもしませんでした。当の私は寝ていたので気が付かず、警察の方に起こされて初めて気付きました。恐怖感はありませんでしたが、結局ただの脅しで何もなかった、ですね。きっと本気ではなかったのでしょうね。



学生時代についてお聞かせください。


学生時代は専ら麻雀をしていました。集団でやることになるので友達関係が築けていいと思います。今でも麻雀仲間は仲が良く、同窓会のように集まることも多いです。
私は専攻がマーケティングで、我々の時代はマーケティングがあまり広まっていませんでしたが、その時期からやっていたので、皆一流の会社に行きました。大学の時も未来から今を見ていくというスタンスを持っていました。



若者へのメッセージ


偽物にならず、本物になりなさい。職業人も議員も偽物であってはいけません。そのためには見世物では駄目なのです。コミュニケーション力も必要ですし、何よりちゃんと考えて行動して欲しいと思います。
選挙に関しても、基礎知識のない、ただ手を振るだけのテクニシャンが当選するのはおかしいと思ってください。広告宣伝のキャラ付けやイメージ付けだけで相手にインプットさせるような議員がいますが、中身がないと意味が無いのです。
議員でもなんでも、売れるものを自分で持っていて、それを欲しいと思わせなければいけません。あくまでも見世物になってはいけないと思っているので、ぜひ中身のある、自分に自信が持てる本物になってもらいたいと思います。



(インタビュー:2012-12-5)


昭和39年 慶應義塾大学商学部卒
昭和54年 太田市議会議員(1期)
昭和58年 群馬県議会議員(3期)
平成 7年 群馬県旧太田市長
平成17年 群馬県太田市長
※プロフィールはインタビュー時のものです。

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