ジャパンプロデューサーインタビュー

Vol.116 [首長] 田中 和明 草加市長 「世界へ羽ばたく前に、まず日本を知ってほしいと思います。」

市長

草加市長 田中 和明
所属 草加市長
選挙区 埼玉県草加市
公式サイト

 

田中市長は大学卒業後、草加市役所で公務員として長年勤務されてきましたが、元々市長になりたいと考えておられたのですか?


私の家は神社なのです。ですから、幼い頃から市民の皆さんの家内安全や商売繁盛などのために奉仕する、という意識がありました。そのため、市民のために何かお役に立ちたいという気持ちで役所に入って、仕事をしてきました。

退職後は宮司として市民の皆さんに奉仕しようと思っていましたが、多くの皆さんから市長に立候補しないかと薦められました。最初はあまり本気にはしていませんでしたが、やはり役所で働いている中で一部の意見しか反映されないことがあったり、市長の不信任があったりして、38年間お世話になった市民の皆様に恩返しをしたいという気持ちで立候補しました。



市長の仕事を通じて感じるやりがいはどういったものですか?


よく世間では政治不信と言われていますが、それは行政が市民との約束を守らないことが原因だと思います。市長という立場は市民の皆さんから意見が直接入ってきます。厳しい財政の中で何とかやりくりをして、皆さんとの約束を果たした時に、「ありがとう」と声をかけていただけることが、一番のやりがいです。



市の課題、住民に求めるものについてお聞かせください。


市というより庁舎についてなのですが、3.11後耐震性が問題となっています。やはり庁舎は市の中心であり、いざという時に市民を守る砦でなくてはなりません。子どもたち、お年寄りの安全を守るためにも、強いまちづくりをしていく必要があります。

市民の皆さんに求めることは地域に溶け込んでほしいということです。特に若者に多いのですが、なかなか今の方々は地域のことにコミットできない雰囲気があるように思います。若者たちはそういう地域コミュニティに入っていく経験がありませんから仕方がないことかもしれませんが、自分たちに何ができるか、考えてみれば防災訓練等をはじめ、できることはたくさんあります。そこを積極的に動いてほしいと思っています。そして、そうさせるのが我々の勤めでもあります。



草加市の見どころはどういうものですか?


草加はまだまだ歴史が浅いまちですが、良いところがたくさんあります。「今様・草加宿市民推進会議」を中心に「草加のお宝50」というスポットや景観、イベントや人物などを設定しまして、草加市の良さというものを再発見していただけるような取り組みを行なっています。

実は、旧日光街道「草加松原」の並木の本数をスカイツリーの高さに合わせて634本になるように11本補植しました。ぜひ一度ご覧になってください。まだまだここでは言い切れないほど色々な良いところがたくさんありますから、しっかりPRしていきたいですね。



これから草加市をどのような街にしていきたいとお考えですか?


草加は元々日光街道の宿場町ですから、「おもてなしの心」があるまちです。ですから観光におみえの方々には、そういったおもてなしをする施設やイベントを作っていきたいですね。やはり人が多く集まらなければ草加の良さが伝わりませんから、しっかりとしたPRが必要です。

草加は「ものづくりのまち」でもあり、町工場が多く、内外に発信できる素晴らしい技術もたくさんあります。また、草加といえばなんと言っても「草加せんべい」が有名です。手焼き体験などよそでは出来ない経験ができますから、そういったよそのまちには無い良いところを知ってもらえるようなまちづくりをして行きたいと思います。



市長の学生時代についてお聞かせください。


先程述べたとおり、私の家は神社でしたから境内を掃除したり、祭典の手伝いをしたりということが多かったですね。あとは仲間とスキーをしたり、野球をしたりしていました。普通の学生だったと思います。



やはりご実家が神社ということで市民への意識が現在の職にも生きているんでしょうか?


そう思います。やはり「人のため」という教育をされてきましたし。例えば「人に迷惑かけるな」であるとか、あるいは「目上の人を敬え」であるとか、「悪口は言うな」というように、小さい時から染み付いています。そういったところが「市民のために」というゴールに近づいているのかなと思います。



投票率低下の現状についてどのようにお考えですか?


非常に悲しく思っています。草加は特に投票率が低く、私の選挙の時は3割でした。やはり政治に関心を持ってもらわないといけないと思っています。まちづくりをするのは市長ではなく、議員でもなく、住民ですから、そういった意識を持って選挙に行ってほしいです。



最後に学生へのメッセージをお願い致します。


やはり若者は冒険もできるし、無茶もできると思うのですが、まずは世界に羽ばたく前に地域に根を下ろして、地域のことは自分たちで守っていこう、という気持ちでまちをつくっていってほしいですね。それから日本の国、それから世界、という段階を踏むべきだと思います。世界という夢を持つことは勿論素晴らしいことですが、まずは自分が育った土地を大事にしてくださいとお願いしたいです。

また、私は常にフェアであることを心がけています。やはり偏りがあっては物事の本質は見極められません。ですから、フェアに物事を見る目を養ってほしいと思います。



(インタビュー:2013-01-23)


昭和46年    3月 國學院大學卒業
昭和46年    4月 草加市役所入所
平成  7年    4月 草加市議会事務局 次長
平成10年    5月 広報広聴課長
平成14年    4月 草加市議会事務局 局長
平成21年    3月 草加市役所 退職
平成22年  12月 草加市長
※プロフィールはインタビュー時のものです。


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