ジャパンプロデューサーインタビュー

Vol.121 [首長] 久保田 健一郎 石岡市長 「なによりも「元気」が一番です。」

市長

石岡市長 久保田 健一郎
所属 石岡市長
選挙区 茨城県石岡市

 

市長になろうと思ったきっかけを教えてください。


私は40歳で市議になり、5期半ばにて議員職を辞し市長選に立候補しました。理由は、行政運営の中で、自分の考えを提案してみたいと思ったからです。また、私の生まれ育った石岡が、だんだん元気をなくしている現状を見て、これを何とかしたい、私の大好きなこの石岡市に活力を取り戻したい、との思いもあったからです。



政治の道へ進まれた理由は何だったのでしょうか?


政治の道へ進もうと考えたのは、元々、障がい者や高齢者のために働きたいという思いが強くありました。障がい者や高齢者のために何かできないだろうか、いろいろと考えましたが、結局たどり着いた結論は政治への道でありました。市議になった後も、福祉・教育を考える委員会に属して、障がい者や高齢者の問題に取り組んでまいりました。



石岡市を良くするためには何が必要と考えていますか?


私はスローガンとして「元気いしおか」を掲げています。元気な地域、元気な産業、元気な教育。「元気いしおか」は、それらをすべて包括したフレーズだと考えています。元気なくして何事もできません。そして、その元気の源は郷土愛であると思います。郷土愛なくして、その地域の発展に尽くしたい、とは誰も思わないはずです。 また、石岡市に限らず地方が抱える問題として人口減少・高齢化があります。特に、若い世代の減少が顕著であります。では、若い世代、つまり元気があふれていて未来の石岡市を活性化させていく人たちに、石岡に住んでもらう、住み続けてもらうには、まず、石岡を好きになってもらうということではないでしょうか。



最近、若者が雇用を求めて都市部へ行く風潮が止まりませんが、何か対策はお考えですか?


問題は、地方では若い世代に働く場所が少ないため、働き先を求めて都市へ行ってしまう。それを防ぐためには、若い世代へ働く場所を提供しなければなりません。働く場所があれば、若い世代が都市部へ転出することもありません。
そのための施策として、企業誘致に力を入れております。新設または事業を拡張する企業については、法人税の免除や、市民を雇用した場合の補助金を助成する制度を実施しております。既存の企業についても、工業団地における使用燃料・地下水採取・緑地面積率の緩和、企業立地促進法に基づく超低利融資等の支援など、企業が活動しやすい環境をつくるとともに、市役所内には、複雑な行政手続きをワンストップで対応する企業誘致推進室を新設しております。その効果もあって、この2年間で7社に新設・拡張していただきました。
また石岡市の基幹産業の1つに農業があります。現在の日本の農業は、大変深刻な高齢化と後継者不足という問題を抱えています。かと言って農業に魅力が無いのかというと、むしろ、魅力的な職業であると私は思っています。ではなぜ若い世代が農業に就かないのかというと、私は儲からないからではないかと思います。そこで、「儲かる農業」を念頭において、農業後継者・新規就農者の支援や、生産、加工、販売といった農業の6次産業化等の施策を展開することにより、若い世代の取り込みも考えております。



その他石岡市を発展させるための具体的な政策を教えてください。


石岡市では、観光にも力を入れています。昨年11月に念願の朝日トンネルが開通し、つくば市また都内からのアクセスが格段に向上しましたので、より人の交流が盛んになると思っております。朝日トンネルの開通に合わせて、「茨城県フラワーパーク」や「やさと温泉ゆりの郷」をリニューアルするなど整備を図っております。また、トンネル開通による乱開発を防ぐため景観条例を施行するなど、“にほんの里100選”に選ばれた里山・田園風景を守り、心から安心感を覚えるようなまちづくりをしております。
自然を活かした取り組みとして、現在、トレイルランにも力を入れています。トレイルランとは林道や農道などを走るマラソンのことで、筑波山の東麓に位置する石岡市は起伏に富んだコース設定が可能なため、年2回ほど、民間団体が中心となって大会を開催しています。まだ構想段階ですが、公式コース・常設コースのようなものを設定できればと考えています。マラソン大会はどこの市町村でも開催していますし、規模では東京マラソンには勝てませんが、自然を体感しながら走ることができるトレイルランは、地方ならではの大会ではないでしょうか。
また、石岡は、奈良時代には常陸国の国府が置かれた歴史あるまちであり、舟塚山古墳群や、国衙跡、国分寺・国分尼寺跡などの史跡、常陸国総社宮などの寺社があります。そして、毎年実施している「石岡のおまつり」は、神輿をはじめとして、絢爛豪華な山車や勇壮な幌獅子など40数台が市中心部を巡行し、おまつり期間中の3日間で40万人を超える見物客が訪れます。石岡市では、伝統文化の保存・継承、“歴史の里”としてのまちづくりにも力を入れています。



学生時代のエピソードを教えて下さい。


正直私は、学生時代は本当に勉強しませんでした。しかし、アルバイトを含め、様々なことにチャレンジしました。アルバイトで言えば、野菜の引き売りであったり、魚屋のバイトであったり、そういったことを経験した上で、人とのつながりの大切さを学びました。



大学在学中にしておくべきことを教えてください。


一番は本を読むことだと思います。それも速読ではなく、しっかりと読み込んでいくことが大事だと思います。筆者の本当に言いたいことというのは、1冊の本の中の数ページかもしれません。だから速読でいいという話も聞きます。しかし、それのみを得るために読むのではなく、なぜそうなるのか、といった背景も読まなければ意味がないと思います。本を熟読し、体験等を通して、その背景を推理し理解していくことは非常に重要です。私が若い時に読んで感銘を受けたのは、司馬遼太郎の『竜馬がゆく』です。明治の変革期に熱い志を持った若者が集まり国づくりをしていく中で、絶望感の中にあっても決して諦めない点に、私は感銘を受けました。ぜひとも読んでいただきたいと思います。



若い人たちへのメッセージを教えてください。


初めに言いましたが、「元気」を持っていただきたいと思います。生まれ育った故郷を愛し、郷土愛を育んで欲しいと思います。若い世代が、自分自身の町を、市を、県を、ひいては国を良くしたいと思って行動を起こしていくことについては、私は大賛成です!



(インタビュー:2012-11-30)


流通経済大学  卒業
平成15年  5月  石岡市議会議長
平成17年10月  石岡市と八郷町が合併、新「石岡市」となる
平成19年  5月  石岡市議会議長
平成21年11月  石岡市長(現在1期目)
※プロフィールはインタビュー時のものです。

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