ジャパンプロデューサーインタビュー

Vol.131 [首長] 落合 克宏 平塚市長 「まちづくりに、若い力を!」

市長

平塚市長 落合 克宏
所属 平塚市長
選挙区 神奈川県平塚市

 

市長になろうと思われたきっかけについてお聞かせください


元々平塚生まれの平塚育ちで、平塚のまちに対する愛着から、まず初めに市の職員となり、まちづくり、地域づくりに携わってきました。平塚のまちは、昔は商圏も広く、とてもにぎやかなまちでしたが、時代の流れとともに、少しずつ変わっていくことが気がかりでした。
父親が平塚の市議会議員を務めていたこともあり、また、議員として違う視点から地域づくりに関わっていきたいと考え、選挙に出馬し2期務めました。その間にも地元平塚をより一層元気なまちにしたいという気持ちが高まり、市長に立候補させていただきました。市職員・市議会議員としての経験や仕事のノウハウを、新たな挑戦の中でまちづくりに活かしていきたい、というのもきっかけのひとつとなりました。



市長としての「やりがい」についてお聞かせください


市民の方から、具体的な施策に対して「ありがたい」という声を聴かせていただいたときはやりがいを感じますね。例えば本市では、小学6年生までの子どもの医療費を無料にしています。これは、私が市長になってから着手した施策で、これまで3年生までだった無料対象者を6年生までに拡大したものです。このことで「病院にかかるお金が少なくて助かる」とか、「平塚に住んで本当によかった」という声を聴くと嬉しいですね。
それと、市民の声をくみ取り、施策として実現できた時も同じです。本市にはおおむね連合自治会ごとに25の公民館があり、その各地区の公民館を会場に「市長と語ろう!ほっとミーティング」という市民の方との対話の場を設けています。市民の方と会っていろいろなキャッチボールをする中で、地域の課題や問題点が明らかになり、さらにそこから解決策などが形となって見えてくることもあります。25年度新規事業として導入した「65歳以上の単身高齢者見守りシステム」は、市民との対話の中から現実問題として出てきた課題に対して予算付けをしました。このように具体的な形となったことは本当に良かったと思います。



市の持つ課題についてお聞かせください


市の財政状況は、長引く不況で大幅な歳入増が見込めない中、生活保護などの扶助費といった義務的経費が年々増加しています。実施したい政策があっても、実現するためのお金がない。これは、本市に限らず神奈川県内の市町村はそういうジレンマがあると思います。そうした中、市の借金である「市債」とのバランスを考えていく必要があります。市債が増えれば、それは後年度の負担が増えていきます。3年、5年という中期で財政を考えなくてはいけないのと、お金を借りて毎年いくら返すのか、10年、15年という長いスパンで見ていくことが求められます。そのバランスの中で、じゃあどこまで借りよう、市民サービスはどこまでしよう、でもここは今回のところは我慢してもらおう、もっと経済が活性して財政に余裕がある時にやろう、そういう葛藤の中で25年度予算も作りました。



市長選挙についておしえてください


やはり3.11の震災の影響が大きかったです。その前の年の11月には立候補の手を挙げていて、そもそもは平塚を元気なまちにしたいと思っていたことが始まりでした。そうした中、あの震災が起きて、市民の安心安全のための施策に、より一層力を入れて取り組まなければいけないと決意を新たにしました。市職員時代に防災関係の部署に配属されたこともあり、このまちの防災計画にも携わってきました。それをより具体的に施策としてまちの防災対策に反映するため、これから市長としてしっかりやっていきたいという想いが、結果として市民の方たちに伝わったのだと思っています。



若者の投票率低下をどのように感じておられますか。


今の時代、様々な情報媒体があるので、そういうものを駆使しながら、若い人に「政治って面白いよ」「政治を少し覗いてみたら」と、発信し、若い皆さんにもっと関心を持ってもらえるような政治にしていくべきだと思っています。このことは、まちづくりに関しても同様のことが言えると思います。
あとは仕組みを考えることも大切です。例えば政治に関わることで学生も単位がもらえる等の制度があるとモチベーションも上がるので良いのではないでしょうか。



市の職員の時と議員の時と市長になってからで、「市長」という仕事への見方は変わりましたか?


それぞれの立場によって見え方は変わりますが、「現場との距離を置きたくないな」と、この立場になり思います。
市民との対話だけでなく、市の職員ともできる限りの対話を心掛けています。ひとりひとりの職員にも、まちを作っていく仲間として一緒に頑張りたいと思ってほしいですね。また、市職員、議員時代に考えていたことに対して、実際に市長になり、真に取り組むべきことなのか、そうでないのか、また、取り組む場合、そのアプローチ方法についてなど、あらためて考えるようになりました。



最後に若者に向けてのメッセージをお聞かせください


若い皆さんには、これからの地域を、日本を、どういう風にしていきたいかという問題に対して少しでも興味や関心を持ってもらい、実際に何かの形で関わっていくため、失敗をおそれずに行動してもらいたいと思っています。
単なる批判家であることは誰でもできます。様々な課題や問題に直面した時、まずは目指すべき将来像を描き、時代背景やタイミングも意識しながら、やるべきことの優先順位を考えて、解決に向けて取り組んでいく。そうした一連のプロセスを皆さんには、身近なところや日常生活の中で積極的に取り入れ、身に付けてほしいと思います。まちづくり、地域づくりにおいても、皆さんの斬新な発想力や若さあふれる行動力に期待しています。



(インタビュー:2013-02-28)


昭和56年  4月  平塚市役所に就職
平成14年12月  同市役所を退職
平成15年  4月  平塚市議会議員に当選(第1期)
平成19年  4月  平塚市議会議員に再選(第2期)
平成19年  5月  第48代平塚市議会議長就任
(平成19年度~20年度)
平成23年  4月  第21代平塚市長に就任
※プロフィールはインタビュー時のものです。

関連記事
  • Vol.238[首長] 宮本一孝 大阪府門真市長 「相手のことも自分事のようにとらえ、支え合うまちを目指して」

    ジャパンプロデューサーインタビュー

  • 濱田市長プロフィール用
    Vol.237 [首長] 濱田 剛史 大阪府高槻市長 「未来志向で、次世代に品格ある高槻を!」

    ジャパンプロデューサーインタビュー

  • 品川市長プロフィール用
    Vol.236 [首長] 品川 萬里 福島県郡山市長 「誰一人取り残されないまちを実現するために」

    ジャパンプロデューサーインタビュー