ジャパンプロデューサーインタビュー

Vol.137 [首長] 大橋 良一 加須市長 「市民の普段着の言葉を市政に活かす」

市長

加須市長 大橋 良一
所属 加須市長
選挙区 埼玉県加須市

 

市長になったきっかけを教えてください


私は、市長になる前は埼玉県職員と、合併前の加須市の助役をしていました。
市議や県議といったいわゆる政治家であったことはありませんでした。
私が市長になったのは50代の後半になってからですが、それまでは公務員として一生を終えることに疑問を感じていませんでしたので、定年間近になって生き方がまるっきり変わってしまったというのが実情です。
私は、この加須市で生まれ育ちましたが、埼玉県職員として勤務している時、当時の市長から市政運営を手伝ってくれないかとお声がけをいただきました。当時、私自身、行政マンとして長年仕事をしていたので、助役になることにあまりためらいはなく、すんなりと受け入れました。
ところが、助役を務めて一年半ほどで、急遽、市長が体調を崩され、その後を託されたことが、一番直接的な転機だったと思います。



市長になろうと思われたときのお気持ちを教えてください


託された時は、当然、私が市長に選ばれるかどうかわからなかったこともあり、あまり大きな衝動は感じませんでした。
ただ、これまで30数年行政に携わってきた者として、行政という仕事に楽しみや面白みを感じていましたので、私が「やってみたい」と思っていたことが実現できるかもしれないという漠然とした期待を持っていました。



実際市長になられてやりがいを感じる部分を教えてください


これまでの経験の中で「こうしたほうが良い」と思っていた部分を経験則に基づいて改善していくということ、また、市長という立場になり新しく見えてきた未知の世界の問題を解決していくということの2つの内容が、私が市長になってから体験した市長としての仕事です。
いずれの内容も、私が「こうするのが良い」と考えて実行したことによって、市民の皆様から「良くなったよ」と声をかけてもらえたり、反応をしてもらえたりした時にとてもやりがいを感じます。



市長がいつも意識されていることを教えてください。


私は、市長として、「チャレンジ」、「対話」、「オープン」の3つを常に意識しております。
特に、「対話」という部分には気を使っており、「出前市長室」や「オープン市長室」などと銘打って市民の皆様と話す様々な機会を設けています。
どれもその場で話を聞く場合が多いのですが、話の内容は市政の専門的なことばかりではなく、身近で個人的な相談なども多かったりしています。
市民の皆様の声は、大風呂敷の内容ではなく、そのほとんどが生活に身近でとても細かい部分の話が多く、普段私が気づかないようなことも多いです。そういう市民の皆様の声を聞きながら、市政において欠けていた視点や考え方を取り入れることはとても大事なことと考えています。私にとって市民の皆様の声を聞く機会は、単なる対話というよりも、市政運営上なによりも欠かせない要素の一つだと捉えています。



若い人からの声というのは多いですか?


若い人からの声は、「市長へのメール」がとても多いです。とても興味のある内容が多く、例えば、「お店が分煙していても喫煙ルームが入口に近くて意味がない」とか、図書館の本の蔵書についてなど、とても身近で重要な内容が多いです。
ただ、若い人は、「出前市長室」や「オープン市長室」などのように直接対話の場に来ていただけることがとても少なく残念です。メールのような文字だけでは考えていることの一部しか伝わりません。ぜひ会いに来ていただき、いろいろ話をしたいと思っています。
私は、対話の際には、かしこまった雰囲気ではなく、お茶飲み話の気分で話せる機会を作ることが重要だと思っています。そういう環境で出てくる普段着の言葉にこそ、本音が潜んでいると思っているからです。



市でこれからチャレンジしていくことを教えてください。


「健康」と「環境」という2つの内容にチャレンジしようとしています。
一つ目の「健康」については、健康寿命を県内1位にするということです。
加須市も他の自治体と同様、長寿化に直面しています。そのため、市民の皆様が健康で長生きできるようにするということを一つの目標とし、健康寿命の延伸につながる取組を市民の皆様と一緒になって考えるプロジェクトチームを立ち上げました。
様々な切り口から、どこに注意すれば健康で長く生きていけるのかということを考え、市民の皆様の健康意識を高めていきたいと考えています。
二つ目の「環境」については、加須市を日本一のリサイクルのまちにしようという目標を掲げています。
ごみの資源化は、各地で様々な方法で行われております。生ごみ以外にもいろいろなごみが資源化できるのですが、いざ資源化しようとすると、市民の皆様にはきちんと分別をしていただくなどの御協力が必要不可欠です。しかしながら、今までのやり方を変えるとなるとなかなか難しい面もあります。だからといって何でも燃やしてしまうと、焼却灰などの最終処分場が足りなくなってしまい、結局ごみが溢れてしまうことになります。
このことについては、昨年、自治会などで丁寧に何度も説明することによって、市民の皆様に御理解と御協力をいただき、いよいよ今年から資源化の推進に向けた取組を本格始動させていきます。



最後に若者へのメッセージをいただけますか?


若い人には、何かひとつ夢中になることを見つけてほしいと思います。 評論家みたいに冷めた目で見るのは、いつでも誰でもできます。スポーツでもなんでもよいので、何かひとつ夢中になって一生懸命に打ち込んでほしいと思います。



(インタビュー:2013-03-12)


昭和22年  加須市川口生まれ
昭和38年  市立東中学校卒業
昭和41年  県立不動岡高校卒業
昭和45年  中央大学法学部卒業
埼玉県庁入庁
昭和55年  杉戸町企画財政課長
昭和62年  南河原村助役
平成  9年  県政策調査室長
平成11年  県土木総務課長
平成13年  埼玉高速鉄道(株)企画室長
平成14年  加須市助役(平成17年3月退任)
平成17年  第16代加須市長(7月3日就任)
平成21年  第17代加須市長(7月3日就任)
平成22年  初代加須市長(4月25日就任)
※プロフィールはインタビュー時のものです。

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