ジャパンプロデューサーインタビュー

Vol.142 [首長] 佐藤 信 鹿沼市長 「笑顔あふれる優しい街をつくっていきたい。」

市長

鹿沼市長 佐藤 信
所属 栃木県鹿沼市長

 

市長になろうと思ったきっかけを教えてください。


民間企業で三年間勤めたあと、市役所に入庁し、様々な職場を経験したり、労働組合で委員長を務めるなどしているうちに、鹿沼市に対する思いが次第に強くなっていきました。
もともと政治には関心がありましたが、自分自身が政治の世界に身を置くことになったそのものは、強い意志と言うより、その時の巡り合わせだったように思います。
もともと強いものに向かっていく反骨精神が少し強かったこともあり、その延長で、市長選の声がかかった時も「誰かがやらなくてはならないのであれば自分がやるしかない。」という思いで手を挙げました。



葛藤ややりがいを教えて下さい。


市長になる前は、17年間、県議会議員でした。議員と言うのは決定権がありませんが、それに対して、首長の権限は大変大きいもの、言い方を変えれば、首長次第で良くも悪くも、街が変わってしまうという危機感がありました。

私が市長になってむしろ戸惑ったのは、思った通りになんでもできてしまうイメージが、実は意外とそうではなかったということでした。
市民の声や議会の声、賛成や反対の声を聞きながら、総合的に判断して政策を進めていくため、大変な手間とヒマのかかるのが民主主義のルールであります。
一方に良くても、もう一方には良くない。そういった状況を理解しつつ、しっかりと話を聞き、調整していく。そんな調整役のような仕事が市長の仕事だと実感しました。やりがいというより責任の重さを痛感しています。



これまでの決断についてお聞かせください。


ひとつ例をあげると、中心市街地にある「まちの駅」の建物について、それまでの計画を白紙にして「まちの駅 新・鹿沼宿」という誘客施設を作ることを決断しました。白紙にすることを理解してもらうために大変なエネルギーが必要でした。

結果としては、想定していたよりも好評をいただいています。市民は、この建物を中心に街案内をすることができ、市民の拠り所にもなっています。鹿沼の新鮮な農作物の販売や、そばなどの飲食店、イベントスペースなどもあり、鹿沼のいいもの、いいところを紹介することもできます。鹿沼市以外のものは置かず、できるだけ地元との共存共栄を念頭に運営をしています。



二期目の市長が目指すビジョンは?どのような街にしていきたいですか?


今後、経済的に昔のような成長は望めません。そうしてみると、住んでいて笑顔で日々暮らせることができ、住みやすく、安心してみんなが支え合って声をかけ合いながら生活できることが大切だと思うのです。
ハード面も大切ですが、それ以上に住民の気持ちが前向きになることが何より重要です。
私は、鹿沼市を、笑顔あふれる優しいまちにしたいと思っていますので、市長として、その先頭に立ち、笑顔で前向きに生きていきたいと思います。



若者に向けた施策や、若者の力を街に活かすためにどんなことをしていますか?


笑顔あふれる優しい街をつくろう、という思いが若者に伝わり、若者自らが自発的に行動を起こしていくような動きを引き出すのが行政の役割だと思っています。

今、鹿沼市では、「ネコヤド商店街」など、多くの若者が商店街で活躍しています。最初の仕掛けは行政が動くこともありますが、軌道に乗ってくれば、若者の自発性に任せると、若者の活躍する場がどんどん増えていき、高校生アイディア会議なども、自主的な活動に繋がってきています。



他の自治体と違うところはどこでしょう?


街の活性化は、人づくりだと思います。新しい店ができるのも、カリスマリーダーがいて、そこに次々と人が集まってくるからだと思います。リーダーを見つけて、一緒に「がんばっぺ!」というスタンスで私も頑張っています。



若者に期待すること


厳しい競争にさらされてなかなか希望が持ちづらい世の中です。若い人には10年、20年先を考えて行動してもらいたいと考えています。いまだけの話、ではなく、先を見ていろいろ挑戦して欲しいと思います。若い時の失敗は、必ずプラスになります。どんどん挑戦して失敗から学んで次につなげることがとても大切です。



若者時代の市長はどのような性格でしたか?


とても地味な性格でした。調整役として、みんなの話を聞きながら落としどころを探しているような役でした。
趣味や熱中することはそれほどなかったのですが、みんなとワイワイ騒ぐのは好きでした。



街ゆく方々に話しかけられたりと、大変市民に近い市長ですね。


私はご当地ヒーロー・カヌマンの総司令官でもあります。私としては、市長というよりは「隣のしんちゃん」ぐらいの気軽さで接してもらえればと思っています。私の明るさが伝わると良いと思って、いろいろな活動をしています。



若者にメッセージをお願いします。


ここ鹿沼市は、交通の便も良く、首都圏、宇都宮も近く、気候や自然に恵まれています。大変住みやすいまちですので、ここで生きるということをお勧めします。
魅力は花と緑と清流。市内の7割が山で、豊かな自然があります。やる気さえあれば、一から農業も始めることができる環境があり、豊かな自然に囲まれながら暮らしていくことができます。いろんなことに挑戦できる場所が鹿沼市にはあります。

最後に、世の中はそれほど甘くなく、いつも努力しているから必ず成功するというものではありません。ただ、努力したことは必ず自分の糧になります。頑張っていればチャンスが来る。あきらめず日々頑張っていくことを大切にして生きてください。



(インタビュー:2013-06-03)


昭和44年4月 藤井産業株式会社入社
昭和47年4月 鹿沼市役所採用
平成3年4月 栃木県議会議員初当選
平成7年4月 栃木県議会議員(2期)
平成11年4月 栃木県議会議員(3期)
平成15年4月 栃木県議会議員(4期)
平成19年4月 栃木県議会議員(5期)
平成20年6月 鹿沼市長就任
平成24年6月 鹿沼市長2期目
※プロフィールはインタビュー時のものです。

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