ジャパンプロデューサーインタビュー

Vol.156 [首長] 原口 和久 埼玉県鴻巣市長 「若さを前面に押し出してがんばってほしい」

市長

埼玉県鴻巣市長 原口 和久
選挙区 埼玉県鴻巣市

 

市長になられたきっかけは何ですか?


私が市長になったのには明確なきっかけがあったわけではなく、自然な流れの結果だったと考えています。私は市の職員として13年間を過ごした後、小さな会社に就職してから政治の世界に入りました。もちろん市の職員としての時代にも行政における公正さの重要性は感じていましたが、それはむしろ民間時代に強く感じていましたね。会社に勤めていたときに市にはいろいろな人が住んでいるのだということを実感し、彼らの最大幸福を達成できるような市政が必要なのではないかと考えるに至ったんです。そして政治の世界に入るわけですが、議員を二期務めている間にも、私が生まれ育った大好きな街である鴻巣をもっともっと活気あふれる街にしたいという思いは高まるばかりでした。その思いを胸に市長を目指し、就任することができたという感じですね。なので、その時々に応じて感じた問題意識や思いに正直に歩んできた結果、今の私があるのだと思っています。



なぜ一度民間に出ようと思われたのですか?


もともと公務員になる前にも、短期間ですが保険会社に務めていた経験がありますので、その後市の職員として過ごすうちに、公務員のあり方や自分の目指すべき場所を改めて外から見直さなければならないと思ったのが理由です。



鴻巣市は歴史がある街と伺っておりますが、特に興味深い話などありますか?


鴻巣は本当に歴史のある街で、古くは埴輪の生産地だったのです。近隣にはたくさんの古墳があるんですが、そこから生産を依頼されて、荒川の水路を利用して果ては千葉まで送り出していたほどです。もう一つ興味深い話では、江戸の大火で江戸城が燃えてしまったときに、その修理に徳川家康が代官に命じて建造させたとして知られる鴻巣御殿の一部を解体して材木としたというものもあります。それがなければ今も歴史と観光の拠点として名を馳せていたことでしょう。



鴻巣の魅力はずばりどういったところでしょうか?


やはり観光資源でしょう。日本でも有数の田園風景もさることながら、鴻巣には様々な日本一があるんです。例えば、「びっくりひな祭り」というような全国から注目を集めている催しや、花の生産地であることなどがそれにあたりますね。食も豊富で、若い人の意見を取り入れた川幅グルメというのも売り出しています。なぜ川幅かというと、市内での荒川の幅が川幅としては日本一なんです(笑)そういうところも利用して、若い人が市を盛り上げようとしてくれるのは本当にありがたいことです。最近では花火も話題になっています。1分間に打ち上げる尺玉の花火の量が日本一の花火大会があるのですが、今年は日本一、いや世界一の4尺玉の打ち上げとなりました。これは壮観ですよ。ぜひ一度ご覧になってください。
これだけ列挙させていただきましたが、忘れてはならないのがこうした日本一を支えているのは人の力であるということです。各種の催し物はボランティアの皆様に支えられていますし、若い方々も積極的にアイデアを出していただけるので活気があふれています。市民参加が活発に行われ、市の魅力を内外に強く発信できる。それが鴻巣市の一番の魅力ではないでしょうか。



市民の方々から声を聞く場は多く設けられているんですか?


直接の対話は月に一度公民館等で場所をもうけさせていただいたり、様々なイベントに参加させていただいたりして行っています。ただやはり手紙やメールなど間接的に意見をいただくことが多いですね。私も市民の皆様の声を積極的に取り入れていきたいと思っておりますので、ぜひ本音で市政への意見を述べてほしいですね。



10万人規模の市を運営するにはどのような苦労がありますか?


苦労と言いますか、やはりこれだけ大規模の市になってくると、隅々まで子細にわたって声を届けることはなかなかできないのが正直なところですね。機会があれば、小中学校に特別講師として市政についてのレクチャーを行うなど積極的に交流はしているのですが、全員に直接会うことは不可能です。なので、メディアやインターネットをうまく活用して、行政の情報をしっかりと公開・共有することを心がけています。



若者に向けた政策や取り組みなどはありますか?


私は若い皆さんに行政に参加していただきたいと願っています。市の発展を将来担っていくのは、若者の皆さんですからね。具体的には、商工会の青年部のように積極的に市政に関わっていただける若い方々が活動しやすい状況を創っていこうと考えています。



若者に期待することなどはありますか?


まずはこの鴻巣を好きになってほしいですね。どこの市でもそうだと思いますが、若い方々が楽しんで日々を過ごせるまちづくりを目指して行政を行っています。そういった中で、無関心になってしまう方が多いのは少し寂しいですね。どういう事業を行っているのか、どういうお金の運用をしているのか、そういったことに少し興味を持っていただければ、もっともっと鴻巣が活性化していくのではないかと思います。



市長として一番やりがいがあった仕事はなんですか?


市民の皆さんの大切な税金をお預かりして、いかに安全・安心なまちづくりを行っていくかが市政の真髄だと思います。しかし、私が就任した当初は財政が非常に苦しく、市民の皆様のご要望にすぐにお答えできない状況にありました。この状態を打破するために、就任してまもなく町の合併のために動き始めました。私にとってこれは山積する課題を素早く処理していかなければならない非常に大きな困難でしたが、同時にとてもやりがいのある仕事でした。結果的として合併に成功し、念願の鴻巣の駅前の整備も順調に進めることができています。



市の今の課題は何だと思いますか?


行政に課題は尽きないものですが、やはり今焦点があてられているのは子育てと高齢化ですね。鴻巣市では安心して子育てをしていただいたり、老後をすごしていただけたりするために「健康」をテーマとして様々なことに取り組んでいます。



若者へのメッセージをお願いいたします。


私が若い方に期待するのは、やはり活力や気力があふれていることだと思いますので、それらを全面的に活かしていろいろなことに挑戦していただきたいということですね。もちろん一生懸命チャレンジを続けている方もたくさんおられると思います。しかし、中には自分の興味をおさえて家と会社を往復している方々もおられるのではないでしょうか。そのような方は少しでも時間があれば好奇心に正直になって、様々なフィールドで活躍していただければと思います。そしてその過程で市政に関心を持って、若い方の声を私たちに届けていただければ、これ以上はないですね。



(インタビュー:2013-10-25)


昭和52年  9月  1日    鴻巣市役所 入職
平成  2年  4月30日    鴻巣市役所 退職
平成  7年  5月  1日    鴻巣市議会議員 当選
平成11年  5月  1日    鴻巣市議会議員 再選
平成13年  6月  7日    鴻巣市監査委員 就任
平成14年  6月  5日    鴻巣市議会議員・監査委員 辞任
平成14年  8月  1日    鴻巣市長 就任
平成18年  8月  1日    鴻巣市長 再任
平成22年  8月  1日    鴻巣市長 再任
※プロフィールはインタビュー時のものです。

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